因果関係の把握 その1
【因果関係とは何か】
「因果関係」という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。
世間一般で使われている言葉ですが、その意味を正確に理解して、さらに利用できている方は少ないのが現状です。
その証拠に、国民の総意が反映されやすい大衆の行動では、ある問題が発生した場合に、短絡的な理解や安易な解決策に走ってしまう傾向が見てとれます。
たとえばダイエットの方法論について。
テレビやインターネット等の各メディアで、連日のごとく「◯◯を食べるだけ」「◯◯をしないだけ」のような真新しく耳障りの良いテクニックが提唱されています。
ついついそういったものに飛びついてしまうのが大衆の心理ですが、もし因果関係を正しく理解していれば、安易な解決策には飛びつかないはずです。
なぜなら、原因と結果を把握していれば、本当に必要なのは「健康的な生活」だけであると分かるからですね。
ダイエットの目的は健康的な体を取り戻すこと。
つまりは、適度な食事・適度な運動・規則正しい生活こそが、最高のダイエットのはずなのです。
そういったあたり前のことを無視してしまうのは、「食べ過ぎ」「運動不足」「不規則な生活」という“原因”と、肥満や健康状態の悪化という“結果”からなる因果関係を、正しく理解していないと言えます。
そもそも因果関係とは、簡単にいえば「ある原因から生じる結果、およびその関係性」のこと。
肥満という結果をもたらしている原因は必ずあります。
その原因を無視して結果だけを得ようと考えるのは、因果関係の把握をしっかりと行っていない証拠ですね。
因果関係を正しく理解していれば、手っ取り早くカンタンなダイエットというものがありえないということは、容易に想像できるのです。
耳障りの良い言葉に流されてしまう経験に、心当たりがある方は多いのではないでしょうか。
【「因果関係の把握」から問題解決へ】
もちろん、ビジネスの現場でも因果関係の把握は大切です。
とくに問題解決の場面では、その対応策を考案するために、因果関係つまりは原因と結果の分析が欠かせません。
原因が分からなければ、売上低下の理由もクレーム発生の意味も、正しく理解することができませんよね。
たとえば全国チェーンを展開する飲食店において、従業員の離脱が大量発生した場合、その理由を因果関係に着目せず「賃金が安いからだろう」としてしまえば、隠れた原因を把握することはできません。
不満のもととなっている従業員の意見を注視しない経営手法では、いつまでたっても問題は解決しないのです。
もし、本当の原因が「仕事の将来性」や「仕事のやりがい」にあったとすればどうなるでしょうか。
いくら賃金を上げても従業員が定着しないばかりか、最悪の場合、大切な資金を無駄に垂れ流すだけになってしまいます。
因果関係の把握は、会社の業績を揺るがすだけの力があるのです。
このことからも分かるとおり、問題に直面した場合、一般論を盲信したり浅薄な思考による解決策に飛びついてはいけません。
それをしていては、いつまでたっても根本原因にたどり着くことはできないのです。
ではどうすれば良いか?
問題に対して冷静に因果関係を把握し、原因と結果を探る思考のクセを身につけ、より精度の高い正解に近づけるよう努力し続けることです。
それは意思決定権者だけでなく、末端社員も備えておくべき資質です。
ビジネスの現場だけでなく、社会においては、学校のテストのような問題と解答は必ずしも用意されていません。
場合によっては正解がないこともあるのです。
そうしたときに、因果関係の把握が問題解決の精度を上げる手助けをしてくれることを思い出しましょう。
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