因果関係の7つの錯覚パターン その1
【因果関係の錯覚】
目先の事象にとらわれてしまい、物事の本質を性格に把握できていないことで、根本的な問題解決につながらない。
ビジネスの現場では、複雑な社会情勢やそれぞれの企業の事情が絡むことが多く、そういった間違った思考が往々にしてなされています。
ただし問題なのは、間違った思考がなされてしまうことそのものではありません。
意識すべきなのは、解決すべき問題の本質を見極めようと努力をしないこと。
あるいは中長期的な視点から、正しく思考するための方法論を共有できていないことです。
もし、既存の問題に対して、誰もが本質的な要素を意識しながら考えることができれば、導き出される解決策はより精度の高いものとなるでしょう。
少なくとも、会議場での発言は、そうした認識をベースにした同じ方向を向いたものとなるはずです。
大事なのはその点にあります。
つまり、「何のために」という大前提となる認識を共有したうえで、「誰が」「どのように」「いつまでに」といった議論を進めていくべきなのです。
それがなければ、それぞれが好き勝手に意見を出し合うだけに終始しまいます。
それではいつまでたっても問題解決には至りません。
では、なぜ物事の本質を理解しないまま議論を行ってしまうという事態が起きるのでしょうか。
この場合、能力不足や時間の無さは言い訳になりません。
指示者のスキルが足りないというのは否めませんが、それでは、個人に問題をなすりつけることになってしまいます。
そうではなく、実際には、それぞれが把握している因果関係に間違いがあることが多いのです。
その原因は、次のような「因果関係の錯覚」をもたらす要素が関係しています。
1.直感で判断してしまう
2.第3因子に気づかない
3.因果の勘違い
4.根本的な問題点の見落とし
5.真の目的が共有されていない
6.手段と目的の取り違え
7.副作用の発生
ちなみに、「1〜4」の前半の4つは、一般的な因果関係を錯覚させてしまう要素ですが、「5〜7」の後半の3つは、ビジネスの現場で発生しがちな判断を鈍らせる要素となっています。
もちろん、これらの7つの要素を理解しておくことが、あらゆる場面で本質に迫る思考をするために重要であることに変わりはありません。
詳しい解説は例題の後に記載しますが、まずはそれぞれのタイトルから内容を推測してみてください。
おそらく、思い当たるフシがある方が多いのではないでしょうか。
たとえば、「直感で判断してしまう」ことや「因果の勘違い」などは、ごく日常的に起こりえることですね。
それぞれの要素に対する深い理解も大切です。
しかしその前に、自分の思考がどのようなクセをもっているのか、あるいは無意識のうちに偏った考え方をしていないかなどを、改めて確認してみましょう。
それが、物事の本質をつかむための第一歩となります。
人は意識していなくても、それぞれが特有の思考のクセを持っていたり、偏った考え方をしてしまったりしているものです。
自分の間違いをしっかりと把握することによって、はじめて他人にアドバイスすることができます。
そしてまた、そのアドバイスから新たな学びを得られるようにもなります。
目先の事象にとらわれてしまうのではなく、本質的な要素を意識した思考をするためには、そのような日々の努力が欠かせないのですね。
社内やコミュニティ内において、学んだことを共有できる文化が醸成できれば、因果関係を正しく把握するためのプラスのスパイラルを構築することができます。
理解した内容をすぐに実際の行動に移すためにも、自ら好循環をつくっていきましょう。
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