ロジックツリー その1
【ロジックツリーとは】
ビジネスの現場で日常的に発生する諸問題。
それらの原因を探り、適切な解決策を導き出すためには、直感や慣例にしたがっているだけでは不十分です。
可能な限り論理的に物事を分析すること。
そして、冷静に判断するだけでなく、周囲の人間が納得できるような説明をすること。
さらには、結論に至るまでの思考法、あるいは道筋に一貫性があること。
それが大切です。
もしさまざまな問題に対して、自分の利害だけで判断して解決策を導き出す上司がいたら、その部下はどのように感じるでしょうか?
また、取引先に対して説得力のある説明ができずに「弊社ではいつもこのような方法で解決しているので」と言われたら、その相手はどう思うか?
きっと良質なコミュニケーションができないばかりか、内外から会社全体としての信頼性が欠如してしまうでしょう。
ビジネスの現場ではときに非情な判断が求められますが、それ以上に、感情的な部分での「納得感」が欠かせません。
内外に対して、そういった納得感を醸成するために活用できるツールが「ロジックツリー」です。
ロジックツリーとは、その名の通り論理的に物事を考えるためのツールです。
ロジックツリーを使い、問題を「原因の追及」と「解決策の策定」に分け、それぞれを細かく分解して掘り下げていきます。
そうすることで、物事の因果関係が把握できるのと同時に、考えるべき論点を漏れなくダブりなく押さえることができます。
【例題】
ロジックツリーは、机上の思考を現場で生かすための道筋を示してくれます。
例題をとおしてロジックツリーの活用シーンを見ていきましょう。
<例>
入社5年目のAさんは、営業部での成績を評価されて、今年から係長に昇進しました。
早くから中間管理職に抜擢されたこともあって、若手のホープとして注目されています。
しかし、昇進から数ヶ月経過しても目立った成果をあげることができていません。
精彩を欠くばかりか、逆に塞ぎこむことが多くなってしまいました。
Aさんの様子を見かねたB課長は、仕事終わりにAさんを飲みに誘い、悩み事を聞き出しました。
そこで判明した問題点は次の2点です。
?部下が自分の指示に従わないこと
?既存の取引先に実力を認めてもらえないこと
Aさんは、いわゆる「中間管理職特有の問題」に悩まされていたのです。
B課長もかつては似たような悩みを抱えていたことを思い、内心苦笑します。
そこでB課長は、現在の執行役員である当時のC部長に教わった「ロジックツリー」の活用方法を、Aさんに伝授することにしました。
あくまでも教えるのは“使い方だけ”と、強く心に誓って……。
<解説>
Aさんが抱えている2つの問題は、当事者こそ異なりますが、その性質は似通っています。
共通しているのは「相手が納得していないこと」「その原因がAさんにあること」です。
Aさんのアプローチは常に的確ではありますが、能力があるだけに言葉足らずなのが欠点です。
部下に対しては「考えれば分かるだろ?」、取引先に対しては「ご存知のとおり……」が口癖になっていることからもそれは明らかです。
ただ、Aさんの頭の中ではすでに論理が組み上がってしまっていること、そして端的で明快な言質がAさんの武器であることを考えると、思考方法を変えることは得策ではありません。
必要なのはAさんの思考と相手の理解を結びつけるための論理。
それがロジックツリーを使えば明確になります。
具体的な活用方法については「原因追求」と「問題解決」に分けて、掘り下げていきましょう。
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