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良い仮説をつくるための3つの資質 その3

<解説>
まず、A社の成功要因と失敗要因について、より詳しくみていきましょう。

 

<成功要因>
・ユーザーの嗜好にあっている
・社会の需要に応えている
・時代の流れに沿っている
・自社の強みを生かしている
・ヒット&エラーをくり返している

 

★成功要因から分かること
→初期のソーシャルサービスやヒットしたゲームは、上記の通り、「社会的なニーズと自社の資源を組み合わせたもの」という特徴があります。
ユーザーの嗜好、社会の需要、時代の流れを加味しつつ、自社の強みや開発環境を生かして新しいサービスを生み出すこと。
それが、他社に打ち勝つ要因になっているのです。

 

<失敗要因>
・過去の成功にしがみついている
・社会の需要より、開発者の思考優先
・時代の流れを加味していない
・社内の資源に目を向けていない
・失敗したらトライしない

 

★失敗要因から分かること
→過去の成功にしがみついた開発や他社の事例をただ模倣したもの、あるいはプログラマーの意向を強く反映させただけのゲーム制作では、広く社会的に受け入れられることはありませんでした。
また、闇雲にサービスを打ち出しても、それが実現不可能であったり、失敗するとそのままフェードアウトしてしまう姿勢は、マイナスでしかありませんでした。

 

成功事例と失敗事例、それぞれに共通しているのが「良質な仮説思考に基づいているかどうか」という点です。

 

成功した事例をみてみると、「ユーザーの嗜好」「社会の需要」「時代の流れ」そして「自社の資源」などから、「こういったサービスを開発すべきでは?」という発想につながり、具体的なヒット商品が生み出されています。

 

しかし一方で、仮説思考の根底にある「基礎的な知識」「多角的な視点」「仮説追求力」がなければ、失敗事例のように業務的な仮説思考に陥ってしまいます。

 

「仮説思考を実践しています」という事実に意味はありません。

 

時短効果を感じないのであれば、仮説を工夫する必要がありますし、意思決定力をより向上させるための努力は継続しなければ効果は限定的となってしまうのです。

 

社員のなかに、仮説思考の意義に対する疑問が生じている現状を鑑みれば、その点を改善すべきなのは明らかです。

 

惰性で行う仮説思考から、よりハイレベルの仮説思考へと移行させるために、具体的な研修を行うべきでしょう。

 

そうした背景を踏まえて、今回考案された3つの研修を分析してみます。

 

1.ビジネス基礎力養成講座.
2.「斬新な発想」「面白い視点」コンクール
3.モチベーション向上研修(管理体制も含めて)

 

それぞれの研修が、「よりレベルの高い仮説思考を行うための施策」だということに気がつきましたでしょうか。

 

そもそもの狙いは、成功事例のときに行っていた良質な仮説思考を行い、失敗事例で行っていた惰性の仮説思考をなくすことです。

 

「ビジネス基礎力養成講座」によって、フレームワークや経営理論、成功事例、失敗事例などを学び、「「斬新な発想」「面白い視点」コンクール」によって、日頃から多角的な視点を意識させ、「モチベーション向上研修」により、良質な仮説を導き出すまでの根気を養う。

 

あるいは、管理体制でモチベーションを高める工夫をする。

 

これらの研修は、それぞれが角度を変えた良質な仮説思考へのアプローチなのです。

 

研修の効果が現れるのに時間を要するものもありますが、全社的に仮説思考のレベルを高めるためには、どれも重要な研修であることは間違いないでしょう。

 

個々人の基礎的な能力差はあるにしても、全体の底上げをするためには、いずれの施策においてもバランスよく実施することが求められます。

 

大切なのは、すべての打席を得点に結びつけることではなく、ヒットを量産できる体制を整えることなのですね。

 

 

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