仮説と検証 その4
【仮説検証のプロセス】
今回の事例では、すでにある意見を仮説と検証に分けて考えることで、論理的な議論へと発展できるというメリットを学びました。
今後、営業Bの部署では、意見交換する場面が発生する度に、仮説と検証に基いて建設的な話し合いができることでしょう。
考え方のプロセスを共有することが、ひとつのポイントとなっていました。
ただ、本来であれば、当初から仮説と検証に基づいた思考を共有していれば、事例にあるような問題はそもそも発生しなかったはずです。
とくに、企業で定例的に行われている会議では、仮説に基づいた今後の方針を示し、その仮説を検証するための適切なデータを示すことで、それぞれが意思決定の正誤を判断できるという利点があります。
また、会議だけでなく、企画書の作成や小規模単位の意見交換においても、仮説と検証の思考方法を実践することによって、ビジネスがスムーズに進むようになるでしょう。
つねにメリットとデメリットを考えながら意思決定しなければならないビジネスの現場だからこそ、仮説検証は思考のベースとして身につけておく必要があるのです。
では、具体的にどうやって仮説検証を行えばいいのでしょうか。
そのプロセスを交えつつ、考えていきましょう。
<1.状況を観察する>
仮説検証の第一段階は、まず、「状況を観察する」ことからはじめます。
ビジネスのプロジェクト単位で考えれば、「目的は何か?」「市場の動向は?」「競合はどこか?」「使える資金はどのくらいあるか?」「人員は何名か?」などですね。
先ほどの事例で言うところの、相手企業のスペックや過去の事例、時代の流れなどです。
もちろん、状況は刻一刻と変わっていきますので、今後の変化をも加味しつつ、仮説を構築しなければなりません。
将来の先行きは、はっきりとは見通せない場合がほとんどですが、自社にとっのてプラスの変化とマイナスの変化という双方向からの視点をもっていれば、今後の変化とのあいだに大きな相違点はなくなることでしょう。
<2.仮説を設定する>
状況を観察し終えたら、次は「仮説の設定」です。
観察した状況を分析し、それぞれの要素から判断した仮の結論を導き出します。
先ほどの事例で言うと、ベテラン社員の「契約を見送る」や若手社員の「小規模の契約をする」などですね。
仮説を構築するために使用した根拠(状況の観察結果)を明確にしておけば、他人を説得するための材料としても活用できます。
仮説の設定時には、一般常識はともかく、自身の固定観念を持ち込まないようにしましょう。
とくに、個人の事情に関係した利害関係がからんでいる場合には、仮説の設定そのものに偏見が入り込んでしまうことになります。
つねに目的や状況を念頭に置きつつ、相対的に正しいと思われる仮説を構築したいですね。
<3.仮説を検証する>
最後に、設定された仮説が正しいかどうかを「検証」していきます。
仮説の検証は、実際に行動してみるのがもっとも判別しやすい方法ですが(事例で言うところの「契約しない」あるいは「契約する」)、リスクを考えると、行動することが必ずしも最善策とは言えない場合もあるでしょう。
そうしたときには、さらなるリサーチや会議による意見交換、専門家への意見打診など、より仮説を掘り下げるためのリサーチによって検証を行います。
もし、仮説に明らかな間違いが見つかった場合、もしくは情勢の変化等で正しくなくなった場合には、その時点で修正を加え、仮説の精度を高めていきます。
仮説検証とは、上記に示した3つのプロセスをくり返し行うことです。
いくら入念な調査を行っても、また、議論を尽くしたと思っていても、一度や二度の仮説検証では、その精度は不十分でしょう。
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