因果関係を考える3ステップ その4
【因果関係を調べる際の注意点】
因果関係を探るための3つの考え方は、あくまでもきっかけにすぎません。
もちろん、指針として活用することは可能ですが、それだけでは現場で速やかに利用できない可能性も大いに考えられます。
以下の注意点を考慮しながら、いつでもどこでも使えるように、自分なりのオリジナルの指針を身につけておきましょう。
<注意点1.安易な決めつけ>
原因と結果を安易に決めつけてしまっては、因果関係を正しく把握することができません。
ひとりよがりの考え方では、ビジネスを円滑に行うことができないように、因果関係の把握もまたより客観的な発想が必要です。
たとえば、契約数が落ち込んでいる営業マンは「会社の経営方針が悪い」「取り扱い商品に不備がある」「世間は今、不況期にある」などと、売れない原因を安易に決めつけてしまうこともあるでしょう。
しかし、それでは建設的な議論はできません。
大切なのは、悪い現状を打破して契約を伸ばす思考へと自身を変化させることです。
そのためには、まず、売れない原因が自分にあるという客観視からスタートする必要があります。
ときに耳が痛いこともあるかもしれませんが、変えられるものを変えるという発想に切り替え、意味のある因果関係を見つけましょう。
周りの環境を変えることは難しいですが、自分自身を変えることはできます。
客観的に、自分のどこに原因があるのかをしっかり考え、把握する必要があります。
<注意点2.原因の把握が問題を複雑にしていないか?>
また、因果関係をより正しく把握しようとして、原因を掘り下げすぎた結果、問題解決への道筋を複雑にしてしまうことがあります。
このことは、解決策を模索するための議論ではなく、議論のための議論へとつながりかねません。
そもそも「なぜ原因を把握する必要があるのか?」という発想が根底になければ、最終的な到達点がブレてしまうことになります。
それは、ひとりで考えているときでも、会議場でも同様です。
何年も浪人している人は、その原因が「勉強のやり方」にあるのではなく、単なる「努力不足」であることが少なくありません。
多くの人がベストな勉強方法を探求するあまり、そこに時間を取られ、本来必要な勉強時間を犠牲にしてしまっています。
勉強の方法論を深く研究するのではなく、この場合は「勉強時間を増やす」「無駄な時間をなくす」ことに目下全力で取り組むべきなのです。
<注意点3.「枝葉末節」ではなく「大筋」で>
とくに、因果の構造を把握すための図解を作成するときには、「枝葉末節」ではなく「大筋」で原因をとらえることが大切です。
はじめから細かく原因と結果を結びつけようと思えば、いつまでたっても全体像が見えてきません。
まずは、多少粗くても全体像をつくってしまってから、補うように細かい部分を補充していくと、時間効率的にも労力的にも良いでしょう。
図解作成の方法論については、ここで深く言及することはいたしませんが、あまり難しく考えないことが大切です。
基本的なパーツとしての「丸」「三角形」「四角形」「矢印」などを駆使しながら、原因と結果を図示していきましょう。
はじめのうちは手書きで作成しても構いませんが、オンライン上にあるツールなども活用することによって、より共有しやすくなります。
ぜひ、自分にあった作成方法を模索してみてください。
【まとめ】
・因果関係の把握は、問題解決へと昇華させなければ意味がない
・より正しい因果関係の理解には3つの「指針」を活用するべき
・「図解」は考えを共有するための効果的なツール
・最終的には自分なりの指針を見つけることが大切
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