好循環と悪循環(「にわとり−たまご」の因果関係) その2
【好循環と悪循環】
T社がこれから先、集客力を取り戻して業績を回復するためには、起業家サミットで得られた積極性の大切さを生かして、具体的な行動に移す必要があります。
それは、複数個ある施策の中から議論を経て選択的に行うのではなく、使える人員と資金をフル活用して、行動しながらそれぞれのウエイトを考慮していくという方法です。
大切なのは、現状の負のスパイラルから脱して、新たな好循環を生み出すことですね。
「にわとり−たまご」の因果関係では、T社の現状のような「悪循環」と、今後の施策をミックスさせた「好循環」があります。
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
<避けたい「にわとり−たまご」の因果関係(悪循環):T社の現状>
そもそもT社は、ソーシャルメディアやオウンドメディアを活用した口コミの拡大によって、一定程度の認知度を獲得していました。
それらの運用は自社内で完結でき、外注がメインの広告宣伝に比べて費用の支出を大幅に抑えることが可能です。
創業当初は、たしかにそういった方針が功を奏したこともあって、高い利益率とコストカット、少人数でのスリムな会社運営に成功していました。
しかし、どの会社にもあるように、企業の成長には段階があります。
一部の人に活用されている現状から、大きく脱皮しなければならない時期は、必ず訪れるのです。
今回の事例にある通り、T社の成長のフェーズは、集客力の低下という問題で顕在化されました。
問題点がみえてきたことで、会社の成長を新たなステップへと昇華させなければならないと、暗に示された格好ですね。
もしこのまま、何も対策をとらないか、あるいは中途半端な施策を行うだけにとどまってしまえば、T社は存亡の危機に追い込まれてしまうでしょう。
現に、H社長をはじめとするT社の経営判断は次のような悪循環に陥っていたのです。
<T社の悪循環>
過去の成功にぶら下がっている→新しい施策に消極的→大胆な行動ができない→集客力・顧客満足度の低下→問題点の顕在化→より資金がなくなり、過去に成功した手法を強化するだけにとどまってしまう→さらに消極的な施策へ
<望ましい「にわとり−たまご」の因果関係(好循環):望ましい姿>
そういった現状を打破するためには、起業家サミットで他の起業家たちが打ち出していたように、実行可能な施策をできる限り積極的に行うことです。
T社の現状を分析すれば、消極的な施策という原因が集客力の低下という結果を生む悪循環の因果関係となっていたことは明らかですね。
では、T社が施策を行った場合に発生すると想定される好循環について考えてみましょう。
最終的な到達点は集客力の増加にあるのですから、そのためにできる施策をすべて行うことになります。
この場合に、使える人員や資金量を考えすぎてはいけません。
改革は中途半端では成功しないのです。
有力視されていた次の3つの施策を活用して、T社が望む好循環の流れがどのように構築できるのか、イメージしながら一緒に考えてみてください。
どれかひとつの手法を選択的に行っていたのでは得られなかった相乗効果や、倍々ゲームのような認知度の広がりにも着目しましょう。
想定していなかった層の顧客獲得という観点も大切です。
1.リアルのイベントを積極的に行う
2.広告宣伝費への投資を増やす
3.これまで通り地道にSEO対策やオウンドメディアで認知度を高める
<T社が望む好循環>
広告宣伝費を増やす→同時に、リアルのイベントを積極的に行う→認知度が上がる→これまでのSEO対策やオウンドメディアの効果がより高まる→集客力が上がる→さらに広告宣伝費が増やせる→リアルのイベントが定例化する
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