因果関係の7つの錯覚パターン その4
・消費税が上がってしまいましたので、節約志向が高まり、ゲームに使えるお金が減っているのではないでしょうか。
(四国エリア統括マネージャー)
→問題点:因果の勘違い
消費増税前には、各業界において駆け込み需要がありました。
その反動もあって、増税後には、前年度比で売上が大きく低下した企業が増えたのは確かです。
同じ消費でも、増税前後ではその金額に差が生じてしまうこともあって、節約志向も高まりましたね。
特に、レジャー産業や趣味嗜好に関する贅沢品などへの投資は減ったことでしょう。
ただし、消費意欲そのものが低下したわけではありません。
経済重視の政策によって、長期に渡るデフレからも脱却の道筋がある程度はつけられましたし、必要なものは増税後も買われています。
それはゲーム業界でも同様です。
人気ゲームは増税後にも買われているのです。
このまま景気が回復すれば、賃金の上昇も見込めますので、再び購買意欲が高まることも予想されるでしょう。
レジャーや娯楽分野も同様です。
さらに、増税が行われたという意味においては、どの業界でもどの企業でも条件は同じです。
結局のところ、変えられない条件には従うしかないのですから、それよりも、「何が出来るのか」「どんな施策が有効か」という点に焦点を合わせるべきですね。
景気や政策のせいにしまっては、建設的な議論はできません。
つまり、自らの働きかけによって変えられない因果関係を持ち込むことは、ビジネス上の問題解決につながらず、意味のないことなのです。
本当の原因を追求せずに、短絡的に原因を決めつけてしまう。
それが因果の勘違いの正体ですね。
自社の収益力が低下している理由を、消費増税によって購買意欲が低下したと短絡的に考えるのではなく、本当の原因はどこにあるのかと追求すること。
また、引き起こされている結果の中でも、とくに解決できる原因にフォーカスすること。
そうした発想の転換によって、因果関係の把握をより有効に活用することができるでしょう。
・スタッフたちの接客態度に問題があり、クレームが発生しているせいではないでしょうか。一度、本社でマナー研修を行ってもらえませんか?
(北海道エリア統括マネージャー)
→問題点:根本的な問題点の見直し
接客業において、お客さまと直接応対するスタッフの態度や言葉遣いは、売上に直接影響するほど重要な要素です。
それは中古のゲーム販売ショップにおいても同様で、幅広いユーザーに対応するべく、老若男女だれにでも適切な対応ができる人員が求められています。
ゲームの知識があるだけでは不十分と言えるでしょう。
既存のスタッフたちに問題があると感じている北海道エリア統括マネージャーは、各店舗の人材育成だけでなく、全国規模の研修を本社にて行うよう要請しています。
そうすることで、各店舗ごとの横のつながりもできますし、意見交換や今後の対策についての議論もなされることでしょう。
長期的な視点で考えると、多くのメリットがありそうです。
ただ、売上が低迷している原因を、現場のスタッフに押し付けてしまうというのは、因果関係を把握するための正しい考え方と言えるでしょうか。
長期的な企業の成長という意味において、人材育成という視点は大切ですが、目下生じている結果の解決に結びつけるためには時間がかかりすぎます。
今、対策として行うべきなのは、売上低迷の原因が「誰に」あるのか、その犯人探しをすることではありません。
考えられる原因をピックアップした後に、どういった施策を行うのが有効なのか、建設的な議論を重ねることです。
お客さまからのクレームをより精査し、会社全体として取り組める改善策には何があるのかを突き詰めることが先決です。
売上を直接的にもたらしてくれるのは、顧客に他なりません。
しかし、顧客にもっとも近い位置にいるスタッフに対し、売上低迷の根本的な原因を求めるのは早計でしょう。
たとえば、お客さまからのクレームは、全社的に共有されていたのでしょうか。
クレームをチャンスととらえ、有効活用できる仕組みづくりが必要かもしれませんね。
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