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好循環と悪循環(「にわとり−たまご」の因果関係) その3

【因果関係の取り扱いに関する注意点】
ここまでの学習で、因果関係には「一方通行の原因と結果」と「相互に原因と結果の関係にある「にわとり−たまご」」の2種類があること、および、にわとり−たまごの因果関係には「好循環」と「悪循環」があることがわかりました。

 

それらを踏まえて、因果関係の把握を行う際の注意点を確認していきましょう。

 

<注意点1.複数の要素が因果関係を構成する可能性>
T社の事例を考えるときにみた、好循環と悪循環のサイクルからもわかる通り、因果関係には複数の要素が絡んでいることがほとんどです。

 

そのことを理解せず、ひとつの施策を行うことによって現状を打破できると考えてしまう理由には、因果関係の各事象を十分に把握できていないことが考えられます。

 

そもそも、因果関係を把握する理由は、問題の解決策を探るためです。

 

その点をしっかりと理解しておけば、ビジネスの現場で起こる因果関係を安易に理解してしまうことはなくなるでしょう。

 

なぜなら、問題を解決できなかった場合の責任の所在は、解決策を考案した当人に由来するからですね。

 

事業を継続する過程において、問題は常に発生します。

 

大切なのは因果関係と解決策を相互に考え続ける姿勢なのです。

 

<注意点2.サイクルは簡単には止まらない>
また、因果関係のサイクルはそう簡単には止まりません。

 

このことは、好循環にも悪循環にも当てはまります。

 

因果関係の全体像を俯瞰するとわかると思いますが、それぞれの要素は連関しています。

 

つまり、どれかひとつの要因を打ち消す対策を実行しても、その他の要因がそのままスパイラルを構成する可能性があるのです。

 

だからこそ、中途半端な施策では、現状を打破することができないのです。

 

他の起業家たちのアドバイスにもあるように、できることをすべて行って、新しいサイクルを構築させるための「改革」を実行することが必要なのですね。

 

<注意点3.不十分なサイクルの把握>
因果関係のサイクルを把握する場合には、各要素を書き出してみるだけでなく、実際に図解してみると良いでしょう。

 

頭のなかだけで理解するのではなく、相互の関係性を目に見える形にすることで、その全体像がつかみやすくなります。

 

活用できる資源を小出しにするような対策は、一見賢いようにも思えますが、そのことが結果としてサイクルの打破には不十分な施策となってしまうようでは問題の解決に至りません。

 

行動からの学びも加えつつ、適切な解決策を導き出しましょう。

 

<注意点4.自分の担当を超えた発想ができにくい>
大企業ではよくあることですが、会社の全体をみて判断を下すのではなく、自分の担当部署だけを考慮した因果関係の把握では、正しい施策を生み出すことはできません。

 

それぞれの思惑や利権がからむことは多いのですが、判断のかたよりが常態化してしまうと、やがては意思決定の精度が落ち込んでしまうでしょう。

 

<注意点5.全体把握をする習慣>
最後は、日常的な習慣に関する注意点です。

 

日本の学校教育においては、全体把握をする習慣そのものがあまり見受けられません。

 

その結果、因果関係の把握や原因と結果の追求などの思考に馴染みにくいことも事実としてあるでしょう。

 

だからこそ、まずは意識することが大切です。

 

身近なことからはじめても構いません。

 

物事を客観的に分析する姿勢、因果関係を正しく把握するための思考を、常日頃から頭の片隅においておきましょう。

 

【まとめ】
・同じようにみえる因果関係でも、「単純な一方通行の原因と結果」と「相互に原因と結果の関係にある(「にわとり−たまご」の因果関係)」の2種類に分類することができる

 

・「にわとり−たまご」の因果関係には、「好循環」と「悪循環」がある

 

・ビジネスの現場においては、いかに悪循環を好循環へとシフトさせるかが大切

 

・好循環も悪循環も強固な因果関係のサイクルになっている場合が多く、変えるのは容易ではない

 

 

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