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フレームワーク思考 その8(PPM、過去・現在・未来、仮説思考)

6.現状分析(定点観測)と改善
 「チェックとサイクルの構築」では、日々の業務がどのように行われているのかを知り、そのための改善策を模索するための指針を策定しました。

 

最後に行う「現状分析(定点観測)と改善」では、事業活動をより長期的な視点で進めていくため、現状分析とその改善点から、未来志向の方針として立案していきます。

 

現状分析と改善に活用できるフレームワークは次の3つです。

 

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
「過去・現在・未来」の時間軸
仮説思考

 

<プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)>
 企業や事業部ごとに、活用できる経営資源は限られています。

 

これからA課長が先頭に立って取り組んでいく事業、そこで生み出される製品・サービスにはさまざまなものがあるでしょうが、長期的に成長していくためには、それらの置かれている状況を正しく分析し、適切に経営資源を配分しなければなりません。

 

そこで活用できるのが「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」です。

 

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、横軸に「マーケットシェア(資金流入の過多)」、縦軸に「市場の成長率(資金流出の過多)」をとり、マトリクスをつくります。

 

PPM:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(金のなる木、花形製品、問題児、負け犬)

 

 それぞれの事象には次のような特徴があります。

 

・金のなる木
 マーケットシェアが高いので資金の流入が多く、市場の成長率が低いので資金の流出が少ないのが「金のなる木」です。

 

ここで得た資金をいかに「問題児」に投下できるかがポイントとなります。

 

・花形製品
 マーケットシェアが高いので資金の流入が少ないのですが、市長の成長率が高いので資金の流出も多いのが「花形製品」です。

 

積極的な投資を継続することが事業の成長につながります。

 

・問題児
 「問題児」は、マーケットシェアが低いために資金の流入は少ないのですが、市場の成長率が高いので、今後の発展に期待して投資を続けることが大切です。

 

マーケットシェアが高まれば「花形製品」に成長する可能性もあります。

 

・負け犬
 マーケットシェアも市場の成長率も低いのが「負け犬」です。
資金の流入も流出も少ないため、いかに撤退すべきかを模索することが大切です。

 

損失をそのまま放置しておくと、やがて事業の廃止や倒産にまで追い込まれてしまう可能性があります。

 

<時間軸?過去・現在・未来>
 経営の現状を分析し、その改善策を模索するにあたっては、「時間軸」という視点が欠かせません。

 

自社の活動をデータや行動から分析すると、どうしても「過去」の視点にかたよってしまうものです。
しかし、それではMECEを実践した分析とは言えません。

 

大切なのは過去だけでなく、「現在」と「未来」の視点も盛り込むことです。
過去と現在を比較してどのような数値の違いがあるのか。

 

また、現在の指標から未来の目標を設定する場合には、過去のデータから何を学ぶべきかなど、複数の視点を持つことが大切です。

 

たとえば売上においても、過去の指標だけでは他社と比較することしかできません。

 

そうではなく、自社内で時間軸を設定することにより、現在、そして未来への目標設定が可能になるのです。

 

「現状分析と改善」という視点からは、現在の状態を知ることが「現状分析」、過去のデータを参考にして未来への戦略を模索することが「改善」となります。

 

得られた情報から少しでも多くの価値を生み出そうと考えるならば、直感ではなく時間軸のフレームワークを活用しましょう。

 

<仮説思考>
 ビジネスは限られた時間という枠組みの中での勝負です。

 

そこではいかに効率よく情報収集を行い、さらには得られた情報を分かりやすく組み換えられるかがポイントとなります。

 

「仮説思考」とは、時間内で最大のパフォーマンスを発揮するために、複数の要素から求める答えに近いものをあらかじめ「仮説」としてピックアップしておく思考法のことです。

 

仮説思考を行うことによって、無駄のない集中的な事業展開が可能になります。

 

仮説思考の具体的なプロセスは次の通りです。

 

1.仮説を立てる
2.仮説に基づいた結論を予測する
3.仮説を実行するために必要な行動(情報収集、各種作業など)に特化する

 

もし仮説思考をせずに問題の原因を探るとした場合、どうなるでしょうか。

 

たとえば利益の低下が問題となっているとしたときに、その原因として考えられる「顧客数の低下」「競合他社の売上増加」「新規参入の増加」「シェアの低下」「利益率の低下」など、すべての要素をひとつずつ吟味しなければなりません。

 

それでは明らかにタイムロスですね。

 

そうではなく、データや現状から仮説を立て、おそらく「顧客数の低下」がもっとも大きな要因となっていると判断することにより、「なぜ顧客数が低下しているのか」というような具体的な対応策を練る方がより建設的です。

 

このことからも、現状分析から改善策を構築する場合には、仮説思考を前提として取り組むことが欠かせないのだとお分かりいただけることでしょう。

 

ビジネスパーソンの中には仮説思考を無意識に行っている方も多いですが、意識しつつ共有することで認識不足を解消できます。

 

また周知の通り、仮説を立てたら必ず検証を行わなければなりません。
仮説と検証はセットであることも忘れないようにしましょう。

 

 

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