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論理展開のパターン その2

論理展開のパターン その2

【例題】
 それでは、例題を通じて論理思考のパターンについて詳しく見ていきましょう。

 

<例>
 入社5年目のAさんは昨年、仕事へのきめ細かな配慮や気遣いが評価されて事業開発部の主任に昇格しました。

 

4年目での昇進は新入社員の中でもトップです。
社内を活性化させるキャリアウーマンとして、その期待を一心に背負っています。

 

ただ、そんなAさんには悩みがありました。
今年の春から中途で採用されたB課長の存在です。

 

B課長は大手投資銀行で統計戦略課に所属していたこともあって数学的な分析に長けていました。
反面、コミュニケーションが即物的なのがたまにキズです。

 

とくにAさんに対しては、若手だからか下に見ているのか、それとも期待しているためにあえて厳しく接しているのかは分かりませんが、二言目には「もっと論理的に説明してくれないと」と渋い顔をします。

 

たとえばこんな報告です。
「現在の社会情勢を考慮すると、女性目線での商品開発は欠かせません。我が社は女性社員が少ないと思いますので、今後はもっと女性社員の比率を上げていくべきかと思います。」

 

 実際、Aさんにも落ち度はありました。
たしかに仕事のミスが少なく、周囲への配慮には定評があるAさんも、論理的に考えるのは苦手だったのです。

 

むしろどちらかと言えば感情で物事を把握するタイプです。

 

助けを求めて大学の頃の恩師に電話してみると、ある一冊の本を紹介されました。
その名も『論理展開のパターンを把握して仕事力をあげよう!』です。

 

恩師の先生は、Aさんの現状のスキルを鑑みて、初心者にも分かりやすいものを推薦してくれたようです。
さっそくAさんはその書籍を本屋で購入し、その夜から読み始めてみることにしました。

 

1週間後の会議にあわせて猛勉強です。

 

 そして会議当日。
新しい企画の発表においてAさんは次のように発言しました。

 

「今後は女性目線の商品開発を推進します。ここ5年間で市場における女性の購買比率は3倍に膨らみ、その伸び率は毎年1.3倍強、さらに手元の資料にもありますとおり一昨年からの勢いには目を見張るものがあります。我が社の強みが知名度にある以上、女性という新しい層へのセグメンテーションの拡大は必ずや会社に利益をもたらします。」

 

B課長が眼鏡をズラし、目をむいてこちらを見る仕草には驚嘆がにじみ出ていました。
Aさんが心のなかでガッツポーズをしたことは言うまでもありません。

 

<解説>
 論理的に考えることは、基本的なパターンさえ身につけてしまえば、それほど難しくはありません。

 

Aさんは当初、論理思考の基礎が身についていませんでしたが、もともと飲み込みが早いこともあり、すぐに基本をマスターしてしまいました。

 

Aさんが論理思考を身につける前後の発言を比較してみましょう。

 

「現在の社会情勢を考慮すると、女性目線での商品開発は欠かせません。我が社は女性社員が少ないと思いますので、今後はもっと女性社員の比率を上げていくべきかと思います。」

 

→根拠(社会情勢)や前提(女性社員が少ない)があいまいなので、結論に説得力がありません。

 

「今後は女性目線の商品開発を推進します。ここ5年間で市場における女性の購買比率は3倍に膨らみ、その伸び率は毎年1.3倍強、さらに手元の資料にもありますとおり一昨年からの勢いには目を見張るものがあります。我が社の強みが知名度にある以上、女性という新しい層へのセグメンテーションの拡大は必ずや会社に利益をもたらします。」

 

→根拠(購買比率、伸び率)や前提(強みは知名度)が明確で、結論(女性目線の商品開発)が具体的になっています。

 

 今回Aさんが使用したのは「演繹法」です。

 

具体的には「成長市場に投資すべき(一般論)→「女性の購買比率が伸びている(事象)」→「女性目線の商品開発(結論)」という流れですね。

 

さらに、前提として「自社の強み=知名度」も考慮しいます。
なぜ自社の強みが前提になるのかと言うと、ビジネスは競争のもとに行われているからです。

 

他社の動向や他社の特性を無視した戦略は学者が机上で考えた空論でしかありません。

 

ビジネスの現場では、自社の強みという他社と差別化できるオリジナルの資源を前提に据えておくことで、より再現性が高く効果的な施策を考案することができるのです。

 

ここでもし自社の強みを前提に据えなければ、大手には物量で、ニッチ企業には一点突破で攻められてしまい、自社の優位性を発揮することはできないでしょう。

 

 

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