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論理展開の6つの注意点 その1

【論理の落とし穴】
 「なぜこれだけ論理的に説明しているのに、内容を理解してくれないのか。この取引相手はきっと、よっぽど論理的思考力に欠けているのだろう。こんな取引先を相手にしていても時間の無駄だ」

 

そう考えるのは簡単です。
たしかに、世の中は論理的思考力に長けている人ばかりではありません。

 

日常だけでなく、ビジネスシーンで出会う人でも同様です。
とくに日本では、論理的思考を身につける教育がほとんど行われていないのが現状です。

 

 しかし、だからといって冒頭のようなことばかり考えていては、円滑にビジネスを行うことはできないでしょう。
それ以前に、良好な人間関係を築けません。

 

相手の年齢も入社年数も背景も、それぞれ異なるのです。
場合によっては性別や人種も違うかもしれません。

 

そう考えれば、コミュニケーション相手を一緒くたに扱おうとすること事態、無理があると気がつくでしょう。

 

ならば、人のことをとやかく言う前に、まずは自分の論理的思考力を疑うことが大切です。

 

 このように、自身の論理的思考力に慢心してしまい、物事を上手に運べない状態に陥ってしまうのが「論理の落とし穴」です。

 

いかに役立つ考え方を身につけていても、実際に活用できなければ意味がありません。

 

また、論理的に考えることに慣れ、勝手に他人の考えを推測してしまうことも、論理の落とし穴のひとつです。

 

これは、自分の実力に邁進しなくても起こりうるという意味では、前出の例よりもたちが悪いでしょう。

 

<心理的な論理の落とし穴>
慢心によって論理的思考を活用できない
慣れによって定型的に思考してしまう

 

 自己の慢心と慣れに関しては、技術的な問題というよりは、心的姿勢が根底にあります。

 

それらは意識するだけである程度正すことができますし、それだけにすぐに改善できるポイントです。

 

もっとも、心的姿勢ではなく、テクニカルな部分においても論理の落とし穴は存在します。

 

それらは大きく6つに分類されますので、ここでは「論理展開における6つの注意点」としておきましょう。

 

【例題】
 それでは、論理展開における6つの注意点について、例題を通じて詳しく見ていきましょう。

 

<例>
 Y社は創業80年以上の歴史を誇る、老舗の経営コンサルティング会社です。

 

その知名度は高く、各界への強い影響力もあって、内外から高い評価を得ています。

 

また、仕事へのやりがいが評価され、毎年たくさんの優秀な新卒生が入社を希望しています。

 

今年入社した新入社員は総勢120名。

 

例年よりも女性の採用者を増やしたこともあって、未来に向けて大きな展望が開けています。
このような時宜にかなった取り組みが、Y社のもっとも優れた強みとされています。

 

 ただし、そんなY社にとっても不安因子はありました。
それが海外事業への若手登用です。

 

海外で仕事をさせることにより、グローバルな視点と文化的多様性を身につけさせることが主な狙いなのですが、ここ数年失敗が続いています。

 

施策の狙い自体は悪くないのですが、いかんせん海外に派遣された若手が育たない。
最悪の場合、現地で退職・帰国する社員もいるほどです。

 

彼らは将来の幹部候補生なだけに、Y社にとっては大きな痛手です。

 

 今年からY社の人事部長に昇格したS部長は、この自体を憂慮していました。

 

海外事業は社運がかかっているだけでなく、社長の肝いりであるだけに、これ以上の失敗は許されません。

 

そこでS部長は、まず、最悪の事態を想定することからはじめました。
海外に若手社員を登用した場合の最悪の事態、それは「若手社員の退職」です。

 

そう、これまでの人事担当者は、業績悪化を最悪の事態だと勘違いしていたために失敗していたのです。

 

若手社員を退職させないためには、どのようなことに配慮をするのがもっとも大切でしょうか。
それは、彼らひとりひとりをしっかりと理解してあげることです。

 

S部長は丁寧に彼らを分析することにしました。

 

 

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