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ブランド戦略①(ブランドとは) その2

【例題】
それでは、例題をとおしてブランドについての理解を深めていきましょう。

 

ブランドが企業にもたらす恩恵は、必ずしも数値化できるものばかりではありません。

 

しかし、ブランドネームやシンボルマークがあるからこそ、顧客が安心して選択できるということを考えれば、その重要性の高さはご理解いただけることでしょう。

 

ブランドが持つ潜在的な能力を意識しながら読み進めてみてください。

 

<例>
都内で不動産の仲介業を展開しているA社は、業界内の競争の激しさや、景気動向に左右される不動産という商品のために、ここ数年は苦戦を強いられていました。

 

創業当初はとにかくどんな物件でも仲介できるということをウリにして攻勢を強めていましたが、最近では数多くの企業が乱立している状態で思うように業績を伸ばせていません。

 

「このままではいずれ大手企業や勢いのある中小企業に負けてしまう」

 

そう危惧した社長のHさんは、競合他社と大きく差別化する戦略をとることを決意しました。

 

体力や総合力で勝負しても他の企業には勝てそうにないので、専門的な分野を設定しつつ、都内での生き残りをかけて事業を展開していくことにしたのです。

 

そもそもA社には、これといってブランドと呼べるものがありませんでした。

 

ネーミングもロゴもまだまだ浸透しておらず、キャラクターもいません。

 

経費の問題から大々的なテレビCMや広告も打てていない状態です。

 

たしかにこれでは、会社名はもとより、サービスについても周知させることは難しいでしょう。

 

そこでH社長は、差別化とともに、A社独自のブランドを確立するべくブランディングを行うことにしました。

 

具体的には、創業間もない企業を中心にサービスを展開するようにし、設立登記後の企業に対して積極的に営業をかけることにしたのです。

 

インターネット上ではサイトを一から新しくし、SEOキーワードも「創業 オフィス」や「起業 事務所」などで上位表示されるように更新を重ねます。

 

加えて、キャッチコピーには「創業事務所のパイオニア」を採用し、キャラクターには世界的に有名な起業家のSさんを起用。

 

それとは別に、視覚的に可愛いマスコットキャラクターもデザイナーに頼んで作成してもらいました。

 

テレビCMは難しいので、インターネットの動画サイトを中心に広告を打ち出します。

 

できるだけ耳に残るように、音楽にもこだわりました。

 

ロゴには親しみのわくマークを採用します。

 

その結果、少しずつではありますが、創業したての企業やベンチャー企業からの引き合いが多くなりました。

 

商談では「ベンチャー企業の事務所探しはA社だと聞いて……」などの声も聞かれます。

 

最近では、数が増えている女性の起業家からも選ばれるようになりました。

 

キャラクターやオリジナルロゴの効果がでてきた証拠でしょう。

 

また、ベンチャー企業を積極的に支援していることが経済産業省にも評価され、創業支援企業として表彰もされるように。

 

将来的には、不動産の悩みだけでなく、創業後のさまざまなトラブルに対するアドバイスも行いつつ、トータルなサポートができるようにするつもりです。

 

少なくとも、創業企業やベンチャー企業に対するブランド力は高まっていますので、周知させるのに苦労することはなさそうです。

 

 

<解説>
企業は差別化だけで競争優位に立てるとは限りません。

 

むしろ、差別化という根本的な戦略が根底にあり、広告やブランディングによってより広く周知させる努力が大切でしょう。

 

A社の場合には、差別化とブランディングという組み合わせによって、特定分野から高く評価される企業へと成長しました。

 

ブランドの価値は、必ずしも企業の利益と直結するわけではありません。

 

しかし、長期的な視点で考えれば考えるほど、ブランド力によって競争力は大きく高まるのです。

 

どういうターゲットにどのような印象をもたれたいのかを考慮しつつ、キャッチコピーや企業ロゴ、あるいはキャラクターを設定し、ブランドを構築していくことが大切でしょう。

 

 

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