ブランド戦略③(ブランドの構築と展開) その1
【ブランドの構築】
ここまでブランドの意義やブランド・エクイティについて解説しました。
そのなかで、ブランドがいかに企業に利益をもたらしてくれるかについてはご理解いただけたかと思います。
広告宣伝効果だけでなく、企業の信頼、あるいは製品の性能を保証する機能も兼ね備えるブランドは、企業の成長を下支えする大きな役割を担います。
そんなブランドは、どのようにして構築すればいいのでしょうか。
ブランドをいかに育てていくかということを知るためには、まず、ブランドの階層について理解しなければなりません。
なぜなら、ブランドも種類によっては構築方法が変わってくるからです。
ブランドは、大きく次のように5つの階層に分類することができます。
・グループブランド
・コーポレート・ブランド
・事業ブランド
・ファミリー・ブランド(カテゴリー・ブランド)
・プロダクト・ブランド(商品・ブランド)
「グループ・ブランド」とは、企業グループ全体のブランドを指します。
グループ企業全体で統一のブランド名を使用することにより、個々の企業の性質やサービスの違いを越えて顧客に信頼や実績を伝えることができます。
「西武鉄道」の「西武」など、鉄道のグループ企業などでは、グループ・ブランドを利用しているところも多いです。
次に「コーポレート・ブランド」ですが、これは企業単位のブランドのことです。
企業名そのものがブランドとなることもあれば、製品やサービスに企業名を入れているものもあります。
大手おもちゃメーカーの「任天堂」は、社名をそのまま「Nintendo」ブランドとして展開していますし、「Nintendo64」などの製品にも流用しています。
さらに下の階層にいくと「事業ブランド」があります。
これは、企業名ではなく、その企業内で展開している事業単位で展開しているブランドです。
さまざまな種類の飲食店を運営している「レックス・ホールディングス」では、「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」「レッドロブスター」など、事業ごとに著名なブランドを形成しています。
「ファミリー・ブランド(カテゴリー・ブランド)」は、事業単位よりもさらに細かく分類されているもので、複数カテゴリーの製品群につけられたブランド名です。
化粧品のブランドに多いのですが、たとえば「花王」が展開している「ニベア化粧品」のブランドには、同じカテゴリーの複数の商品がラインナップされています。
最後は「プロダクト・ブランド(商品・ブランド)」です。
一番下の階層として分類されるブランドで、個々の商品ごとにつけられています。
「アップル」の製品はそれぞれ斬新なものが多いですが、「iPhone」にしても「Mac」にしても、はたまた「iPad」にしても、個別の製品ごとにブランドとして成立しています。
このように、一口にブランドと言っても、その種類はさまざまです。
自社の特徴はもちろんのこと、展開している事業や製品グループ、あるいは個々の製品ごとにその内容をしっかりと把握し、どのようなブランドを構築するのがもっとも効果的なのかを考えなければなりません。
5つの視点からブランドの構築を模索することが大切なのです。
【例題】
それでは、例題をとおして、ブランドの構築および展開についてより深く学んでいきましょう。
ブランドは、一度構築しただけは不十分です。
育てて大きくし、その後は企業活動を促進させるために広く展開していかなければなりません。
ひとつのブランドが生む相乗効果を利用すれば、企業そのものも大きく成長することが可能となるのです。
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