ブランド戦略②(ブランド・エクイティ) その3
【ブランド・エクイティの構成要素】
次に、ブランド・エクイティの構成要素について、さらに詳しく解説していきましょう。
それぞれの要素がどのような役割を担っているのか、あるいはそれぞれどのように連携しているのかを意識しながら読み進めてみてください。
<1.ブランド認知(Brand Awareness)>
「ブランド認知」とは、そのブランドがどのくらい知られているか、あるいはどのように知られているかを表す指標です。
誰しも知らない商品よりも知っている商品を信頼し、選択しやすいものです。
テレビCMでくり返し放送されている商品を、他の知らない商品より優先的に選んでしまった経験があることでしょう。
とくに、比較的安価な日用品や買回り品の場合には、この認知度が重要になります。
認知度が高いことがそのまま購買につながるからですね。
もっとも、たとえ広く周知されていても、それが悪評ということであれば、むしろ選択を避けられてしまうこともあります。
かつては人気だった居酒屋チェーン店が、風評によって衰退している現状をみればそれは明らかでしょう。
また、ブランドの認知は「ブランド再生」と「ブランド再認」に分けられます。
ブランド再生とは「◯◯だったらこの商品」というようなお墨付きであり、ブランド再認とは「そういえばこの商品は聞いたことがある」というように、ただ知っているという状態です。
高級車や高級ブランド品の場合には、ブランド再生による認知がないとなかなか購買に至りません。
<2.知覚品質(Perceived Quality)>
「知覚品質」とは、代替品と比べた場合に認知できる優位性や品質、差別点です。
知覚品質があるからこそ、顧客は最終的な意思決定をすることが容易となります。
知覚品質は、「パフォーマンス」「付加機能」「信頼性」「耐久性」「付加サービス」などの要素によって評価されます。
ただ、どの要素にこだわるかは顧客によって異なります。
自動車を購入する場合にも、耐久性を重視したいという人もいれば、最新の機能を堪能したいという人もいるでしょう。
また、知覚されている品質と実際の品質とが一致しているとも限りません。
主観や固定観念によって知覚品質が実態と異なる場合がある、ということを意識しておきましょう。
<3.ブランド連想(Brand Associations)>
「ブランド連想」とは、そのブランドを連想させるようなすべての要素を指します。
キャッチコピーから企業のロゴ、キャラクター、パッケージ、雰囲気や音楽、あるいは商品名やその形状などさまざまなものがあります。
企業側としては、なるべくポジティブに自社ブランドを連想できるように工夫しなければなりません。
たとえば、アップル社製のiPhoneで言えば、シンプルで洗練された形状、ハイセンスのデザインとクールなボディ、スティーブ・ジョブズというカリスマ経営者でありキャラクター、驚きに満ちたプレゼンテーション、流行の最先端、発売日の店舗での行列などが挙げられます。
<4.ブランド・ロイヤルティ(Brand Loyalty)>
最後に「ブランド・ロイヤルティ」ですが、これは顧客がそのブランドに対して感じている忠誠心や執着心のことです。
真のロイヤルカスタマーと呼ばれる層となると、新製品が発表された段階で行動を開始する場合がほとんどです。
そのとき、値段や品質に関しては特段気にすることはありません。
それだけの忠誠心があるということです。
たとえば、アップルの熱烈なファンがアップル社の製品であれば無条件で購入してしまうというのも、このブランド・ロイヤルティが作用しているからです。
ブランド・ロイヤルティは、実際にそのブランドを所有した経験があるからこそ生じるものですが、その後の継続購入につながる要素なので、ブランド・ロイヤルティを構成する他の3つの要素よりもとくに重要とされています。
ブランドを保有する企業にとっては、継続的に高収益を確保するための大きな要因となります。
【まとめ】
・ブランド・エクイティとは、ブランドに付随する資産価値のこと
・ブランド・エクイティは、次の4要素から構成される
1.ブランド認知(Brand Awareness)
2.知覚品質(Perceived Quality)
3.ブランド連想(Brand Associations)
4.ブランド・ロイヤルティ(Brand Loyalty)
・ブランドの認知度を測る際には、「どのくらい」だけでなく「どのように」も調査することが大切
・ブランド・ロイヤルティが高ければ高いほど、企業は安定的に収益を確保できる
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