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価格戦略④(新製品の価格設定) その1

【新製品の価格設定】
製品の価格設定はどのフェーズにおいても大変難しい課題のひとつですが、とりわけ新製品の価格設定に際しては気を使わなければなりません。

 

開発にかけた年月や労力、コストなど、あらゆる経費を回収できるかどうかや、また、会社の業績を左右するその後の売り上げを決定付ける重要なポイントとなるからですね。

 

市場が飽和している現代においては、優れた製品をただ作り、市場に投入するだけでは、売り上げを確保できません。

 

だからこそマーケティングを駆使しなければならないのですが、そのマーケティングの要素を価格にも反映させることで、顧客からスムーズに受け入れられるようになるのですね。

 

新製品が思惑どおりに売れれば、企業活動は加速します。

 

新製品の価格設定には、主に次の2つの方法があります。

 

ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格設定)
スキミング・プライシング(上層吸収価格設定)

 

価格戦略((新製品の価格設定)

 

「ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格設定)」とは、初期の段階から市場への浸透やシェアの拡大を図るために、価格をコストと同等、あるいはコスト以下に設定するというものです。

 

市場に導入した当初から、消費者にとって魅力的な価格を設定することで、購入へのハードルを下げるという価格戦略ですね。低価格商品を中心に活用される手法です。

 

一方で「スキミング・プライシング(上層吸収価格設定)」とは、製品ライフサイクルの前半部分において、新製品の開発にかかったコストを早期に回収するために、初めのうちから高めの価格設定をするというものです。

 

高価格帯なだけに、購入層は限られてきますが、短期間で確実にコストを吸収できるという強みがあります。

 

いずれの手法も新製品の価格設定における代表的なものですが、両者の違いをしっかりと把握しておかなければ、望むような成果をあげることはできません。

 

そればかりか、最悪の場合、時間と労力、コストをかけて開発した新製品が、市場や顧客に受け入れられなくなってしまいます。

 

一貫したマーケティング戦略を考慮しつつ、正しい価格設定をするようにしましょう。

 

 

【例題】
それでは、例題をとおして、新製品の価格設定についてより深く学んでいきましょう。

 

新製品が開発企業に対して担うべき役割はたくさんあります。

 

ただし、市場シェアもコストの回収も、と欲張っていると、いずれの望みも叶えることができない製品となってしまう恐れもあるのです。

 

中途半端な価格設定をしないよう、目的を正しく価格に反映させたいですね。

 

<例>
大衆酒から高級地酒まで幅広く取り扱っている造り酒屋のA社は、新年度を迎えるたびに新しい商品を開発・販売しています。

 

その試みも今年で10年目。

 

思いつきで始めたこととはいえ、継続して行っていることもあり、年初には地元だけでなく都市部の各メディアからも取材を受けるほどになりました。

 

そのおかげで販促効果も上々です。

 

ただ、問題なのは、開発した新製品がなかなか市場に定着しないことです。

 

年初に大々的に打ち出すことによって一時の話題性はあるのですが、結局売れるのは昔ながらの大衆酒や地酒ばかり。

 

いくらメディアに取り上げられるからとはいえ、開発コストもバカにならないだけに、今年の新商品がある程度の成果をあげなければ来年も継続するかどうか判断に迷うところです。

 

そんななか、社長のSさん宛に「お酒の試飲会」のお知らせが届きました。

 

いつもは面倒くさがって参加していなかったS社長ですが、会場が各種イベントを行っている大きなホールだっただけに興味をもちました。

 

例年の試飲会は役場の会議室を貸しきった程度の規模だっただけに、大きなホールであれば、いろいろなお酒が飲めそうだということで最終的に参加を決めたのです。

 

 

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