ターゲティング その1
【ターゲティングとは】
セグメンテーションによって市場を細分化し、その全体像を把握することができたら、次は「ターゲティング」を行います。
ターゲティングとは、どの市場セグメントを標的として定めるのか決定することですね。
そもそも、どんな企業でも、活用できる経営資源には限りがあります。
そのため、戦略的にターゲティングを行わなければ、競合がひしめき合うなかで、競争を優位に進めていくことができないのですね。
ターゲティングにおいては、いかに適切な標的市場に焦点を絞れるのかが重要となります。
そのためには、自社の強みや特徴、ビジョンや理念はもちろんのこと、市場や競合、顧客についても把握しておかなければなりません。
そのうえで、セグメンテーションによって細分化された市場のなかから、どこにターゲティングを行うべきかの議論を進めるのです。
市場攻略のアプローチとして代表的なものは「非差別化マーケティング」「差別化マーケティング」「集中化マーケティング」の3つがあります。
企業の規模や、投入する商品の性質などによって、いずれのアプローチ手法を選択するのかは変わっていきます。
それぞれの概要について、簡単にご説明しておきましょう。
1.非差別化マーケティング
非差別化マーケティングとは、市場を差別的にとらえず、その全体や最大のセグメントを標的として、ひとつの商品を投入する、いわゆる「マス・マーケティング」の手法です。
かつては、日用品などにおいて、市場全体でひとつの商品が購入されるということがありました。
そういった商品の場合、非差別化マーケティングが有効となります。
企業側としては、大量生産による製造コストやマーケティングコストの削減につながるというメリットがあります。
ただ、あくまでも市場全体の平均的なニーズしかとらえることができないため、現代のようにモノがあふれている時代においては、必ずしも消費者の満足を得られるとは限りません。
そこで、「差別化マーケティング」や「集中化マーケティング」が生まれました。
2.差別化マーケティング
差別化マーケティングとは、市場を差別的にとらえて細分化し、商品をはじめとするマーケティング・ミックス(4P:製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)を、その細分化した市場ごとに用意する手法です。
「フルライン戦略」とも呼ばれています。
軽自動車から高級車までを取り扱うTOYOTAなどの自動車会社をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。
差別化マーケティングを実践することによって、市場全体のどのセグメントに対しても、適切な商品を提案することができます。
その結果、トータルの売上高が最大化されるというメリットがあります。
しかし一方で、多大な経営資源が必要になるということもあり、いかにコストと売上のバランスを保てるかが重要となります。
そのため、比較的規模の大きい企業向きと言えるでしょう。
3.集中化マーケティング
3つ目は集中化マーケティングです。
集中化マーケティングとは、ある特定のセグメントに対して、すべての経営資源を投入するというものです。
まさに、ひとつの顧客セグメントに集中するというマーケティング手法ですね。
前出の差別化マーケティングが大企業向けだったのに対し、こちらは中小企業でも活用できる戦略となります。
集中化マーケティングにおいては、特定の商品で戦う「一騎打ち」や、販促や人員投下に関する「一点集中」など、ランチェスター戦略もあわせて応用することが可能です。
ただ、ひとつのセグメントに対して、自社のマーケティング・ミックスすべてを投入することになりますので、より慎重にセグメントを選定しなければなりません。
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