マーケティングリサーチ③(手法とプロセス) その3
【リサーチ手法と分析手法】
マーケティング・リサーチのプロセスについて、おおよその流れは理解できましたでしょうか。目的の設定や仮説の設定についてはすでにご紹介したとおりです。
ここから先は、リサーチ手法とデータの分析手法についてより詳しく解説していきましょう。
いずれも、マーケティング・リサーチのキモとなる部分ですので、しっかりと内容を把握してください。
<リサーチ手法>
「?リサーチ設計と実施」のプロセスにおいて行うべきなのは、どのようにリサーチを行うのかを具体的に決め、それらを粛々と実行することです。
ポイントとなるのは、次の3つの項目です。
・サンプルの設定
・質問の設計
・リサーチ手法の選択
無作為にアンケートやインタビューを行う調査もありますが、マーケティング・リサーチにおいては目的が明確に定められているので、「サンプルの設定」に関してもより適切な対象を選ばなければなりません。
この過程を「サンプリング」と言います。
サンプリングが正しく、そしてより具体的に行われれば、それだけリサーチの精度も高まります。
また、対象者に対してもっとも最適なアプローチ手法を考案できるかどうかも、サンプルの設定が正しく行われているかによって変わってきます。
30代の男性サラリーマンにインタビューしたいのなら新橋や丸の内あたりで街頭調査をする必要がありますし、女子高生の意見が聞きたければ学校関係者にアポイントをとる必要があるでしょう。
さらに、調査対象の数に関しても注意しなければなりません。
どのくらいのサンプル数を確保すればデータの信ぴょう性が高まるのか、コストとともに把握することが大切です。
無限に調査を続けてしまえば、目標を達成するどころから、事業活動として問題があると認識されてしまいます。
経費の側面からも最適なサンプル数を割り出しましょう。
次に「質問の設計」ですが、こちらは内容だけにとどまらず、形式についても考えておきましょう。
たとえば、「Yes or No」の2択が最適な場合もあれば、事細かく質問できるほうが優れているという場合もあるでしょう。
前者はとにかく数を稼ぎたい場合、後者は顧客の幅広いニーズを収集したい場合に向いています。
いずれにしても、顧客から回答を回収できる見込みがなければなりません。
いくら詳細な意見がほしいからと言っても、対象者が忙しい人であれば、ほとんど回答を得られない可能性もあります。
サンプルの属性を考慮しながら、現実的な部分にも配慮しつつ質問を設計していきましょう。
最後は「リサーチ手法の選択」です。
リサーチ手法には、おおむね次のようなものがあります。
<定量調査>
・訪問面接
・留置調査(調査員が調査票を届け、後日回収する)
・郵送留置(郵送で調査票を配布する)
・ホームユーステスト(実際に使用現場で使ってもらう)
・セントラルロケーションテスト(通りすがりの人に商品を使ってもらう)
・郵送調査
・電話調査
・インターネット調査
<定性調査>
・キーマンインタビュー
・デプスインタビュー(個人の深層心理や価値観にまで及ぶ分析)
・ペアインタビュー(意思決定がペアで行われる商品が対象)
・グループインタビュー
・行動観察調査(カメラなどを使い、対象者の行動を観察する)
リサーチ手法の詳しい内容は専門書に譲りますが、これだけの手法があるということは理解しておきましょう。
そうすることで、リサーチ会社に調査を依頼する際にも、選択肢を広げて提案することが可能となります。
社内でリサーチを行う場合でも同様ですね。
<分析手法>
こちらも専門的な内容となってしまいますので、詳しい内容については割愛いたしますが、「分析手法」には次のようなものがあります。
概要だけ、簡単に理解しておきましょう。
・相関分析(変数間の相関関係を調べる手法)
・因子分析(それぞれの変数における共通の特性を探る手法)
・クラスター分析(類似性の高いものを集めて分類する手法)
・コレスポンデンス分析(変数間の類似性や関係の深さを調べる手法)
・コンジョイント分析(いくつかの製品属性を組み合わせた代替案を提示し、選好を分析する手法)
・回帰分析(結果となる変数に、要因となる変数がどのくらい影響を与えているかを調べる手法)
【まとめ】
・マーケティング・リサーチは正しいプロセスで行わなければならない
・マーケティング・リサーチのプロセスは次のとおり
?リサーチ目的の設定
?仮説の設定
?リサーチの設計と実施
?データ分析と仮説の検証
・リサーチを外注する場合でも、プロセスの確認はするべき
・リサーチ及び分析の手法についても理解しておけば、提案できるようになる
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