ビジネスマーケティングと俯瞰思考 その3
【関係者を把握する?業者】
次に、ビジネスマーケティングに欠かせない俯瞰思考について、2つの視点から詳しく解説していきましょう。
一つ目はターゲット企業、および業界をとりまく「業者」についての関係者を把握することです。
そこで役立つのは、物や資源、あるいは支持伝達系統を俯瞰できる「バーリューチェーン」にもとづいたマッピングです。
たとえば、先ほどの事例にあるような不動産業者の場合、次のとおりです。
もちろん、もっと細かくみていけば、それぞれの業者によって違いはあることでしょう。
関連する業者が多い企業もあれば、ほとんどスタンドアローン状態で運営している企業もあるかもしれません。
しかし、ここで大切なのはターゲットに関係する業者を俯瞰することで、全体を大まかに把握することです。
枝葉末節にこだわっていては、全体像は見えてきません。
ビジネスマーケティングの俯瞰思考、そのゴールにあるのは、より最適なマーケティングを展開することです。
調査の専門機関のように、細かく状況を分析し、その結果を報告することではありません。
ある程度の時間や労力は投下するべきですが、最終的に目指すべき目的を見失わないように注意したいですね。
【関係者を把握する?社内】
関係する業者と、もう一つ確認するべきなのは、ターゲット企業の「社内状況」です。
いくら業界全体を俯瞰できたとしても、相手の社内がどのような構造になっているのかを知らなければ、的確なマーケティング施策を打ち出すことはできないでしょう。
たとえば、次のような関係性を明らかにすると良いですね。
もっとも意識するべきなのは、社内における「決定権者」の存在です。
一番最初に接触する相手はターゲット企業の営業担当、もいくは購買担当ということが多いでしょう。
しかし、その担当者に決定権があるかというと、必ずしもそうではありません。
やはりその部署の長や役員などが決済権限を持っていることが多いでしょう。
その場合、いかにその決裁権限を持った人間を交渉の場につかせるかが鍵となります。
しかし、ただそういったことだけでなく、できるだけ全体を把握するようにしましょう。
組織の大きな改変だけでなく、移動によって力関係が変わってしまうこともありますので、完璧を求めるのではなく、可能な限り全体像を描くことが大切です。
その点においては、業界の把握と相違ありません。
この作業は、ターゲットとする企業が大きくなればなるほど難しくなります。
単純にスタッフの人数が多くなるということもありますし、組織の構造がより複雑になります。
そうした場合には、仮説ベースでマッピングすると良いでしょう。
組織の基本形態はある程度同じなので、他社の事例などを参考にしつつ、マッピングを勧めてみてください。
その過程において、新しい事実が判明したときには、改変していくと良いでしょう。
【まとめ】
・マーケティングの本質は、一般消費者向けでもビジネスマーケティングでも変わらない
・マーケティングの本質を踏まえたうえで、ビジネスマーケティングを正しく実行するためには、「俯瞰思考」が必要となる
・俯瞰思考とは、高いところから全体を見渡して考えることであり、その内容を共有するためにはマッピングなどを駆使して図解するなどの工夫が望ましい
・ビジネスマーケティングの俯瞰思考は、主に次の二つを行うべき
・関係者を把握する?業者
・関係者を把握する?社内
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