価格戦略②(価格設定の影響要因) その2
<解説>
普段の生活の中では、「なぜこのサービスがこの価格なのか?」ということを深く考える場面は少ないものです。
理美容店の価格に関しても同様で、半ば慣例的になっている料金設定をそのまま受け入れている人が少なくありません。
だからといって、店舗側もそうした状況に甘んじていては、将来的に存続していくことは難しいでしょう。
マーケティングの発想から、より合理的で説得力のある価格設定をすることによって、市場からも顧客からも受け入れられるようになるのです。
もちろん、状況は刻一刻と変わっていきますので、その都度料金改定について社内で話し合うことが大切でしょう。
その際には、「競争環境」「需給関係」「売り手と買い手の交渉力」の3点が指標となります。
【価格設定に影響を与える3つの要因】
それでは最後に、価格設定に影響を与える3要素について、詳しく解説していきましょう。
いずれの要素も相互に関係しあっているものですので、携わっている業界や参入している市場によっては、それぞれ重なっている部分もあるかもしれません。
そのため、個々の要素の違いを理解することを目指すのではなく、何が価格設定に影響を与えているのかをしっかりと把握するようにしましょう。
<競争環境>
自社が取り扱う製品の競争環境を理解するためには、まず、市場の状態から価格の幅を把握することからはじめましょう。
たとえば、毎日使う日用品(シャンプーやティッシュなどの生活雑貨、消耗品等)は価格の幅が狭く、あまりに高い値段をつけることはできません。
もし高価格で販売したいと考えるのなら、それなりの機能やメリットを付加するなどして差別化を図る必要があるでしょう。
例えばティッシュであれば、「普通のものよりもしっとりとした質感で、何度鼻をかんでも痛くなりにくい」というものでしたら、高価格に設定できるでしょう。
<需給関係>
昔から使われている従来品(とくに発泡酒や携帯電話など、差別化の難しい製品)の場合は、需要供給曲線をベースにした古典的な価格設定に頼ることがほとんどです。
業界内でよほどイノベーティブな動き(例えば携帯電話でいえばフィーチャーフォン(ガラケー)からスマートフォンへの変化)がないかぎり、需要と供給のバランスが大きく変わることは少ないため、もっとも基本的な需要と供給の関係性から価格を決めるのが妥当となるのですね。
古典的ではありますが、無視できない要素です。
<売り手と買い手の交渉力>
売り手と買い手の交渉力に関しては、競争環境および需給関係から、売り手と買い手のいずれが有利なのかを理解することが大切です。
たとえ小さな部品工場だとしても、そこで造られる製品が唯一無二のものであれば、大企業に対しても強い交渉力を持つことができるでしょう。
パワーバランスを正確に把握することは難しいですが、差別化の度合いや相互依存度、あるいはスイッチング・コスト(製品やサービスを他の代替財に乗り換える際の労力や時間、金銭などの総コスト)などからおおよその関係性を導き出し、価格に反映させると良いでしょう。
【まとめ】
・最終的な価格設定には、影響を与える要因についても考慮することが必要
・価格設定の影響要因は大きく次の3つ
?競争環境
?需給関係
?売り手と買い手の交渉力
・より合理的で説得力のある価格設定を目指すべき
・「何が価格設定に影響を与えているのか?」を、つねに意識することが大切
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