コミュニケーション(プロモーション)戦略⑤(コミュニケーション戦略立案プロセス) その3
【コミュニケーション戦略立案の4ステップ】
それでは最後に、コミュニケーション戦略立案の4ステップについて、個別に解説していきましょう。
<1.コミュニケーション・ポリシーと目標、予算の設定>
まず最初に、コミュニケーション・ポリシーと目標、そして予算を設定します。
「コミュニケーション・ポリシー」とは、基本となる指針のことで、たとえば「ターゲット顧客が普段の生活において体験するあらゆるシーンで活用できるイメージを醸成し、安心と信頼感を与える。コミュニケーションの初期段階ではインパクトを与えるが、チープな印象をもたれないように留意する」などとなります。
次に、そのコミュニケーションによって「顧客にどうしてもらいたいのか」や、「どのような印象を持たれたいのか」など、「目標」として具体的に定めていきます。
もちろん、最終的には購入してもらうことを目指すのですが、認知度やターゲット顧客の購入意欲がどの程度高まっているかによって中間目標は変化します。
ポリシーと目標を設定したら「予算」を決めていきましょう。
基本的には費用対効果によって予算額を算出しますが、短期的な視点ではなく、中長期的な視点をもって予算を組まなければなりません。
なぜなら、顧客とのコミュニケーションは短期間で行うものではなく、中長期をベースに継続して行うものだからです。
<2.コミュニケーション・ミックスとメディア・ミックスの決定>
ポリシー、目標、予算が決まったら、次にコミュニケーションの手法と活用するメディアを決めていきます。
たとえば、主婦層をメインターゲットとする製品の場合には、コミュニケーション手法として「広告」を採用し、「テレビ」というメディアでお昼時やゴールデンタイムにCMを放送する、などですね。
ここで注意しておきたいポイントは次の5つです。
・消費者の状態
・製品の特性
・製品ライフサイクル
・競合他社の戦略
・各メディアの性質
「消費者の状態」とは、製品に対する消費者の認知度やイメージ、あるいはセグメントごとの特徴などです。
これらを可能な限り正確に把握することによって、より最適な手法とメディアを選択することができます。
「製品の特性」や「製品ライフサイクル」については、耐久財や消費財の違い、あるいはその製品が今どのような成長段階にあるのかなどを模索することです。
取り扱う製品とそのライフサイクルを考慮しつつ、コミュニケーション戦略を立案することが大切です。
「競合他社の戦略」「各メディアの性質」に関しては、コミュニケーション戦略が相対的なものであることを知り、もっとも効果があがる手法を選択できるよう、テストと改変をくり返すことが求められます。
<3.具体的なコミュニケーション内容の決定>
コミュニケーション・ミックスとメディア・ミックスを決定したら、いよいよ具体的なコミュニケーション内容について考えていきます。
なかでも広告を活用する場合には、「コピー」「デザイン」「頻度」などをじっくりと精査しなければなりません。
社内で考えることもあれば、外部のプロフェッショナルに発注することもあるでしょう。
テレビCMは15秒程度と短く、そのなかでコミュニケーション戦略全体の目標を達成するのは至難の業です。
だからこそ、キャッチコピーや映像デザイン、放送時間、頻度などを最適化しなければ、望むような成果をあげることは難しいでしょう。
費用対効果の面から考えてみても、CM作成にかける労力と時間は多大なものとなります。
<4.コミュニケーションの実施と効果のモニタリング>
最後に、コミュニケーション戦略を実施し、効果測定を行います。
戦略は一度立案したらそれで終了というわけではなく、実行する中で成長させていかなければなりません。
当初から望ましい結果が得られるということはほとんどなく、むしろあらかじめ改編することを見越して戦略を立案したほうが、柔軟な対応ができることでしょう。
【まとめ】
・コミュニケーション戦略を実行するには、具体的なプロセスが必要
・コミュニケーション戦略の立案は次の4ステップで行う
?コミュニケーション・ポリシーと目標、予算の設定
?コミュニケーション・ミックスとメディア・ミックスの決定
?具体的なコミュニケーション内容の決定
?コミュニケーションの実施と効果のモニタリング
・コミュニケーション戦略立案のファースト・ステップは「ポリシー」「目標」「予算」を決めることから
・コミュニケーション戦略は立案後、効果測定を経て改編し、成長させなければならない
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