マーケティング戦略策定プロセス その3
<3.標的市場の選定>
次に、マーケティング環境分析、および特定したマーケティング課題を参考にしつつ、標的市場を選定していきます。
具体的には、市場を細分化しながら(セグメンテーション)、資源を集中的に投下してアプローチするべきセグメントを限定(ターゲティング)していきます。
つまり、「自分たちの顧客はだれか?」に答える作業ですね。
このとき、前段の分析結果や課題を反映させて考えなければ、誤った市場を標的としてしまう恐れがあります。
そうなれば、マーケティングを実践することにならず、問題を解決することはできないでしょう。
とくに、資源が限られている中小企業の場合には、経営資源を無駄にしないためにも、できる限り慎重に判断したいところですね。
<4.ポジショニング>
ポジショニングとは、標的市場において、競合他社よりも自社に魅力を感じてもらうために行う施策のことです。
先ほどの例で言うと、来店が基本であった電化製品の販売を、訪問型や配送型に切り替えることで、移動が困難なお年寄りの需要に対して的確に対応できるようにするという戦略ですね。
また、地域に密着すればリピートも期待できます。
もっとも、どんなに良いサービスや商品を打ち出しても、顧客に認知されなければ意味がありません。
そのため、最初のうちは利益を度外視した手厚い訪問サービスを展開する必要があるかもしれません。
あるいは、チラシ配布やイベントの実施など、地域に働きかけることも必要となってくるでしょう。
その場合にも、企業本位ではなく、お客さまに喜ばれることを念頭におかなければなりません。
<5.マーケティング・ミックスの最適化>
マーケティング戦略を具体的に推し進めていくためには、さまざまな手段を講じる必要があります。
基本的な戦術段階では、4P(製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion))などのフレームワークが活用できるでしょう。
どんな製品を取り扱うのか? 価格設定は? 流通経路は? プロモーションは? などを、個別に検討していきます。
ただ、計画当初からすべてを最適化できるとは限りません。
むしろ、実践を通じて適時変更を加えていくという現場主義を掲げておいたほうが、柔軟な対応ができるでしょう。
予想できなかった顧客の意向などを、随時反映させていくことにより、サービスの質も向上します。
プロモーションの方法に関しても、効果がなければ他の手法を検討するなど、可能な限り迅速に意思決定を行いたいところです。
<6.実行計画の策定>
最後に、マーケティング・ミックスの最適化によって定められた方針にのっとって、実行計画を策定します。
この段階では、より具体的な行動にまで落としこんで議論することが大切です。
つまり、誰が? どのように? いつまでに? いくらで? など、実際の場面を想定して定めていくのです。
もちろん、資金的な裏づけを明確にしておくことも欠かせません。
いざ実行しようとなったときに、予算や人員の配分がうまくいかなければ、計画は絵に描いた餅になってしまいます。
また、現場の人間のスキルや適正にも配慮しておくべきでしょう。
目に見えるかたちで成果を数値化しておけば、いつでも軌道修正を行うことが可能ですし、スタッフのモチベーション向上にもつながります。
【まとめ】
・マーケティングは「分析」「立案」「実行」で
・マーケティング戦略の策定プロセスは6つ
1.マーケティング環境分析
2.マーケティング課題の特定
3.標的市場の選定
4.ポジショニング
5.マーケティング・ミックスの最適化
6.実行計画の策定
・自社を知り、環境を知り、顧客を知ることが大切
・分析と立案だけでなく、実行までがマーケティング
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