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価格戦略③(価格設定手法) その2

<解説>
価格を設定する際に明確な基準を設けていないと、勘や経験に頼った基準のないものとなってしまいます。

 

とくに多業種に対してアドバイスをしなければならないコンサルティング事業においては、それぞれの担当者が全社的に共通のマニュアルを利用していないと、最終的な結果もブレてしまうことになります。

 

よくマニュアル的に働くのは良くないという意見があります。

 

とくに顧客対応などでマニュアル的に対処したことによってクレームになるというこを耳にします。

 

融通が利かないという意味合いがあるのでしょう。

 

しかし、企業が行うサービスや商品の価格がバラバラだと、顧客は不快に感じるものです。

 

例えば、フランチャイズチェーンのファミリーレストランに食事に行った場合に、A店のハンバーグランチは800円、B店のそれは1,200円だったとします。

 

まったく同じ商品を注文しているにもかかわらず、値段が違っていたら不快に思うとともに、そのお店に対して不信感を抱くはずです。

 

したがって、多くの企業がマニュアルを作成しているのです。

 

本来マニュアルとはどんな人でも同じような商品・サービスを提供することができるように存在するのですね。

 

つまり、顧客の信頼を得るためには、実はマニュアルとは欠かせないものなのです。

 

そのため、あらかじめ手法をマニュアル化しておくことが大切です。

 

今回の事例では、それぞれの経験や知見が共有化されていませんでしたが、そうした状況に危機感をおぼえることによって、現状を好転させることにつながりました。

 

業績の好不調にとらわれず、問題にしっかりと対処することが経営には欠かせないのですね。

 

 

【価格設定の3つの手法】
それでは最後に、価格設定の3つの手法について、それぞれ詳しく解説していきましょう。

 

最終的には、3つの手法をバランスよく取り入れることによって、より最適な価格設定を行うことが理想です。

 

一つの手法に偏るなど、柔軟性をなくさないように注意しましょう。

 

<1.原価志向の価格設定>
原価志向の価格設定は、「コストプラス価格設定」「マークアップ価格設定」「ターゲット(目標)価格設定」の3つに分類することができます。

 

原価をどのようにとらえるかによって、価格設定が異なるという点に注目してみてください。

 

また、その企業が属している業種・業界などの慣例が影響していることも少なくありません。

 

?コストプラス価格設定
実際に発生したコストに上乗せするかたちで価格を決めるのが「コストプラス価格設定」です。

 

最終的にどのくらいのコストが発生するか分からない場合に用いられます。

 

たとえばシステム開発の業務において、契約だけを先に済ませ、かかったコストを後から上乗せするものなどですね。

 

すでに売り手と買い手の間で契約が済んでいる場合には、コストを後から上乗せして提示することも可能ですが、発生するコストが想定できない場合には、買い手にとってリスクとなることもあるでしょう。

 

あらかじめ目安を提示してもらったり、上限を設けるなどの対策が必要となります。

 

?マークアップ価格設定
仕入れ原価に対して、一定のマークアップ(上乗せ)をして価格を決めるのが「マークアップ価格設定」です。

 

たとえば食品などにおいて、原価に利益を加えて販売する場合などです。

 

差別化の難しい一般消費財などの場合には、マークアップの度合いも低水準で推移しますが、宝飾品などの高級品の場合は大きな利幅が設定されることもあります。

 

取り扱っている製品やサービスの性質に応じて、より効果的に設定すると良いでしょう。

 

?ターゲット(目標)価格設定
3つ目の「ターゲット(目標)価格設定」は、想定される事業規模から勘案して、一定の利益が確保できるようにするための手法です。

 

たとえば、工場にある製造設備がどの程度稼働するかによって変動する自動車などの価格に、あらかじめ上乗せするかたちで用いられています。

 

原価という要因を機械の稼働率という点からも考慮することによって、状況に応じて確実に利益を確保できる手法となっています。

 

価格戦略(価格設定手法)

 

 

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