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カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM) その3

【CRMが重要視される背景】
CRMの概要についてはご理解いただけましたでしょうか。

 

ここからは、CRMが重視されている背景について探っていきましょう。

 

時代の流れとともに、消費者の心理や動向にも変化が生じています。

 

そうした変化に敏感になり、正しい対処を行わなければ、競争に勝ち抜いていくことはできません。

 

CRMが重視されるようになった背景には、必ず何らかの理由があるはずです。

 

そもそも、CRMはロイヤルカスタマーを育成することを目的とします。

 

これまでのように大衆を意識してマーケティングをするのではなく、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)を強く意識して、より長期的な関係性を構築することが重要視されているのです。

 

つまり、顧客の購買行動が、ただ消費をすることから「消費を楽しむ」へとシフトしているからこそ、個別の消費者を特別扱いしなければならないということです。

 

そうした背景には、次の4つの要素が関係しています。

 

・市場の成熟化
・費用対効果の変化
・顧客との力関係の変化
・ITの発達

 

<市場の成熟化>
先程から何度も登場しているキーワードとして、「市場の成熟化」があります。

 

これは、物が溢れ、市場で手に入らないものがなくなっている現状を意味しています。

 

かつてのように、優れたものを提供するだけでは、成熟した市場において消費者のニーズを満たすことはできません。

 

その結果、ただ欲しい物を購入するという消費から、「付加価値をつけた楽しいお買い物」へと消費の現場が変化しているのです。

 

顧客生涯価値を意識しなければならない理由も、長期的な関係性を構築するという意味もありますが、「物を購入するということ以外の価値も提供しなければならない」、となっているのです。

 

 

<費用対効果の変化>
市場が成熟した状態では、自然な成長は見込めません。

 

これまでは、大々的に広告を打っていれば良かったものの、市場の成長が鈍化している以上、収益力を高めるための施策を講じなければ、利益は目減りしていくのは明らかです。

 

そう考えたときに、もっとも企業に利益をもたらしてくれるのは、新規顧客ではなく既存の優良顧客なのです。

 

そのようなロイヤルカスタマーとの関係性を強固なものにしていくには、CRMという発想が重要となります。

 

 

<顧客との力関係の変化>
また、顧客のニーズが変化することにより、企業と顧客の力関係も変化しています。

 

まだ市場に商品が少なかった時、消費者には限られた選択肢しかありませんでした。

 

それが現在では、さまざまな商品ラインナップがあり、企業側は顧客に擦り寄る商品開発が盛んに行われています。

 

これはつまり、顧客の意向を無視していては、やがて淘汰されてしまうということを意味しています。

 

どんな大企業でも、それは例外ではありません。

 

顧客に豊富な選択肢がある以上、より効率的なマーケティング活動を行わなければ、収益率が低下してしまう状況を免れないのです。

 

 

<ITの発達>
ITの発達によって消費者が得たものは、膨大な情報です。

 

より良い商品はないのか、より良いサービスを提供している企業はどこなのか。

 

そういった情報を気軽に入手できる時代になったからこそ、企業は顧客との関係性を再考しなければなりません。

 

さらに、インターネット上で買い物ができる環境も整備されているので、顧客の判断はより早くなっています。

 

その時に、マス・マーケティングを行っていては、顧客との関係性を強化している企業に太刀打ちできないでしょう。

 

カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)

 

 

【まとめ】
・市場の変化により、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)が重視されるようになった
・CRMとは、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)をキーワードとした、長期的な優良顧客(ロイヤルカスタマー)との関係づくりを強化すること
・マーケティングは「顧客創造」から「顧客維持」へ
・CRMが重視される背景には、次のようなポイントがある
 ・市場の成熟化
 ・費用対効果の変化
 ・顧客との力関係の変化
 ・ITの発達

 

 

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