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ブランド戦略③(ブランドの構築と展開) その3

【ブランドの展開】
それでは最後に、ブランドの展開について考えていきましょう。

 

計画どおりにブランドを育成するには、一定の方針にそって、展開活動を継続的に行う必要があります。

 

気がついたら社名や製品名がそのままブランドになっていた、ということもありますが、その後の展開を考える際には方針をしっかりと定めておかなければなりません。

 

ブランド展開には次の3つのアプローチがあります。

 

<1.マスター・ブランド戦略>
1つ目は「マスター・ブランド戦略」です。

 

いわゆるグループ・ブランドやコーポレート・ブランド(アンブレラ・ブランド)の下にさまざまな事業やカテゴリー、あるいは製品を展開することによって、大元のブランド力を幅広く活用する手法です。

 

たとえば、スポーツブランドを展開してる企業などは、スポーツグッズから付属アイテム、ファッション、時計など、さまざまな製品カテゴリーにおいて社名のブランド力を利用しています。

 

スポーツを発端に培ったブランド力を、より広い分野でも活用している好例と言えるでしょう。

 

ただ、マスター・ブランド戦略にはマイナス面もあります。

 

万が一、コーポレート・ブランドそのものの信頼が失墜してしまう事件が起きた場合、すべての製品が打撃を受けることになります。

 

また、あくまでもその業界・業種のブランドの延長なので、成長には限界があるという点も考慮しておくべきでしょう。

 

マスター・ブランド戦略

 

 

<2.マルチ・ブランド戦略(個別ブランド戦略)>
次に「マルチ・ブランド戦略(個別ブランド戦略)」ですが、これはマスター・ブランド戦略とは対照的に、ひとつの企業あるいは企業グループのもとで複数のブランドを展開する手法です。

 

展開の仕方はさまざまですが、幅広いシェアを得られる可能性があり、リスク分散の役割も果たします。

 

一つのブランドの評判が悪化しても、他のブランドへの悪影響を最低限に抑えられるということです。

 

たとえば、ボディケアやヘアケア商品のブランドで有名な企業が、お菓子のブランドや健康食品のブランド、あるいはアイスのブランドなど、さまざまなブランドを展開している事例があります。

 

マイナス面としては、複数ブランドを展開することによって、資源の分散投資につながってしまう可能性があること。

 

場合によっては、非効率なブランド展開となってしまう可能性もあります。

 

マルチ・ブランド戦略

 

 

<3.マスター・ブランド戦略×マルチ・ブランド戦略>
また、マスター・ブランド戦略とマルチ・ブランド戦略を折衷させた戦略を行っている企業もあります。

 

社名をそのまま用いて新しい商品ブランドを構築するなど、マスター・ブランド戦略とマルチ・ブランド戦略双方の優れた点のみを採用することによって、ブランド展開を加速させているのです。

 

ただ、この戦略はそれぞれのブランドを適切に管理しづらいというデメリットもあります。

 

コーポレート・ブランドなのかそれとも商品ブランドなのかが不明確なため、育成やトラブル対応への正しい対処ができない場合があるのです。

 

また、ブランドとしての一貫性を保つのも難しいとされています。

 

 

【プライベート・ブランド(PB)の台頭】
上記3つのブランド戦略に加え、最近では大手小売店を中心に「プライベート・ブランド(PB)」の活用も進んでいます。

 

プライベート・ブランドとは、流通業者が独自にメーカーとタイアップして商品を開発し、その商品群にブランドを冠するというものです。

 

価格を抑えつつ品質の良い商品を提供できるため、広く普及しています。

 

プライベート・ブランドの対義語は、これまでのようにメーカーが自ら商品を提供するナショナル・ブランドですね。

 

プライベート・ブランドが台頭してきた背景には、大手小売店の交渉力が増大しているという要因があります。

 

流通業者が自らブランドを抱えることで、より効率的に商品を販売できる反面、メーカーの間では競争が激化しています。

 

 

【まとめ】
・ブランドは一度構築すれば終わりなのではなく、構築と育成をくり返す必要がある

 

・ブランドの階層は次の5つに分類される
 ・グループブランド
 ・コーポレート・ブランド
 ・事業ブランド
 ・ファミリー・ブランド(カテゴリー・ブランド)
 ・プロダクト・ブランド(商品・ブランド)

 

・ブランド展開の戦略には、
「マスター・ブランド戦略」
「マルチ・ブランド戦略(個別ブランド戦略)」
「マスター・ブランド戦略×マルチ・ブランド戦略」
の3つがある。

 

・プライベートブランド(PB)の台頭により、流通業者もブランドを持つ時代になった

 

 

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