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グローバルマーケティング その2

【例題】
それでは、例題をとおして、グローバル・マーケティングについてより深く学んでいきましょう。

 

世界に進出するとまずぶつかる言葉の壁。

 

しかし、その言葉の壁を恐れていては行動できません。

 

とくに日本人は、世界の人と比べて奥手だとされています。

 

良い製品があるのなら、情熱をもって伝えること。

 

その姿勢さえあれば、言葉の壁を乗り越えることは難しくありません。

 

<例>
日本国内で海産物を使った食料品の加工・販売を行っているA社は、日本国内では一定のシェアを獲得し、これまで維持してきました。

 

新しい商品についても随時販売しており、売れ行きは好調です。

 

他の追随を許さないよう、つねに顧客のニーズを把握しようとする姿勢は、多くのファンを得ることにつながり、その地位を盤石なものとしています。

 

ただ、これから先の成長を見越した時に、日本国内だけで展開するのは無理がありそうです。

 

社長のHさんは、他の経営陣とともに、国外進出についてかなり前から話し合っていました。

 

ただ、具体的にどうするのかまでは話がすすまず、ついつい国内での新規事業に力点をおいてしまうという状況が続いていました。

 

そんな折、H社長は自ら付き合いのあるコンサルタントのセミナーに参加しました。

 

そこで聞いたのは、グローバル・マーケティングについての話です。

 

コンサルタントが話す内容は、これから先、市場が縮小していくことがほぼ確実な日本でいくらシェアを拡大しても、企業の成長は望めないという過激な論調でした。

 

H社長が大きく刺激を受けたのは言うまでもありません。

 

その日から、社内の改革がはじまりました。

 

まず、H社長をはじめとする管理職の面々が、多国籍企業として海外展開をするのではなく、世界をひとつの市場としてみたときに、どのような海外展開が可能なのかを、実行ベースで模索するようになったのです。

 

期日についてもあらかじめ目処をつけ、先決事項として取り扱っています。

 

社内に新しく設置されたのは、グローバル・マーケティングチームでした。

 

語学力があり、海外で働いたことがある社員を中心として構成することで、A社の枠にとらわれず、自由に事業を展開してもらおうとするのが狙いです。

 

もちろん、チームメンバー全員には、グローバル・マーケティングの基本を知るように指示を出しました。

 

海外事業を軌道に乗せるためには、まず、どの国に進出するかを考えなければなりません。

 

できるだけ費用がかからず、かつ得られる利益が多いと予想されるところが好ましいですが、そのような国はなかなか見つかりません。

 

チームメンバーたちは、知恵を絞って最初の国を見つけようと模索していました。

 

数ヶ月ほど費やして、実際にさまざまな国に行きながら出た結論は、東南アジア圏への進出でした。

 

まずは日本とも親交が強く、食文化についても馴染みやすいフィリピンからスタートです。

 

現地にいる優秀な人々も雇いつつ、A社のDNAについても理解してもらいながら、事業を進めていくことになりました。

 

フィリピン事業でH社長が重視したことは、その国で好まれるような製品を提供するということではなく、日本で好まれているものを積極的に提供していくということでした。

 

提案ベースで事業を行うことによって、日本のすぐれた技術や、現地でとれた新鮮な海産物との相乗効果を模索していたのです。

 

そうしたビジョンが功を奏し、A社の海外事業は瞬く間に成長していきました。

 

現地の住民からも高評価を得て、売り上げは予想をはるかに上回るスピードで上昇しています。

 

はじめての海外進出ではありましたが、あらかじめ狙いを明確にしておくことによって、スピード感のある事業展開ができた結果です。

 

 

<解説>
グローバル・マーケティングにおいては、世界をひとつのマーケットとしてとらえることが大切です。

 

それぞれの国の特性にあわせて事業を行うのではなく、根本にある共通のニーズを探りつつ、よりフラットに事業を展開していくこと。

 

そうすることで、日本国内だけでなく、世界でも通用するような製品およびサービスが生まれるのです。

 

まさにグローバル・マーケティングの本質ですね。

 

 

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