セグメンテーション その2
<解説>
商品の安売り競争には、必ず限界があります。
物には原価があり、それを下回ってでも集客を行おうとすれば、最終的にはお互いに体力を削り合うだけとなるからですね。
また、顧客は必ずしも商品やサービスを値段だけで判断しているわけではありません。
とにかく安くすれば売れるとだけ考えていれば、同じ値段で売る他店があらわれた場合、対応できなくなってしまいます。
事例では、A社も当初は安売り合戦で体力を消耗していました。
しかし、セグメンテーションによって市場を細分化することにより、自社がどのような価値を提供できるのかをあらためて知ることになったのです。
その結果、強みである接客レベルの高さを住宅密集地で発揮することによって、一般の買い物客を呼び戻せたのですね。
いくら長年おなじ場所で商売をしているからといっても、必ずしも顧客のことを知り尽くしているとは限りません。
だからこそ、定期的にセグメンテーションを実施することによって、顧客層やニーズ・ウォンツの変化に敏感になることが大切です。
新商品開発時はもちろんのこと、業績を回復させるための戦略立案に際しても、セグメンテーションは大いに活用できるでしょう。
【セグメンテーションの実践】
それでは最後に、セグメンテーションを実施する際に活用できる変数について、詳しく解説していきましょう。
それぞれの変数は、あくまでも市場を細分化するために使う指標ですので、どのような市場でも活用できるように一般化されています。
状況に応じて、カスタマイズしながら利用するようにしてください。
<地理的変数>
「地理的変数」とは、市場が存在する国、県、地域、エリアなど、地理に関する変数のことです。
場所によっては、一年を通して温暖なところもあれば、寒冷な地域もあるでしょう。
もちろん、交通の便や住民の移動手段などにも違いはありますね。
文化やその国ならではの規制にも注意しておかなければ、ビジネスに支障をきたす可能性もあります。
<人口統計的変数>
「人口統計的変数」とは、年齢、性別、家族構成、職業、年収など、もっとも一般的なセグメンテーションの指標です。
なかには教育レベルや治安、人種や宗教など、地理的変数と密接に関わっている要素もあります。
計データを利用すれば比較的簡単に収集できるのが特徴ですが、一方で、同じセグメント内でも異なるニーズやウォンツをもつ人が存在する可能性があるので注意が必要です。
<心理的変数>
「心理的変数」とは、社会階層、ライフスタイル、性格、あるいは価値観などの違いによる分類のための指標です。
前出の人口統計的変数で分類されたセグメントの中にも、心理的変数によって異なるセグメントに分類される場合があります。
ライフスタイルで分類したセグメントからそのままニーズを掘り起こせる場合もあるため、マーケティングでは重要視されています。
<行動的変数>
最後は「行動的変数」です。
これは、製品に対する知識や使用頻度、購買パターン、利用シーンなどから分類するための指標です。
たとえば、新しいものを積極的に取り入れる人もいれば、既存の同じ商品を購入し続ける人もいますよね。
消費者の購入態度をもとにした「イノベーター理論」の5つのタイプなどは、行動変数を割り出すのに参考となるでしょう。
【まとめ】
・「セグメンテーション」とは、市場を細分化すること
・セグメンテーションには「地理的変数」「人口統計的変数」「心理的変数」「行動的変数」の4つの変数が活用できる
・市場を細分化することによって、新しいニーズやウォンツが発見できることも
・同一セグメント内にある「異なる需要」に注意すること
関連ページ
- マーケティングとは その1
- マーケティングとは その2
- マーケティング戦略策定プロセス その1
- マーケティング戦略策定プロセス その2
- マーケティング戦略策定プロセス その3
- 企業におけるマーケティング その1
- 企業におけるマーケティング その2
- 環境分析 その1
- 環境分析 その2
- 環境分析のフレームワーク その1
- 環境分析のフレームワーク その2
- 環境分析のフレームワーク その3
- マーケティング課題の特定 その1
- マーケティング課題の特定 その2
- 標的市場の選定 その1
- 標的市場の選定 その2
- 標的市場の選定 その3
- セグメンテーション その1
- セグメンテーション その2
- ターゲティング その1
- ターゲティング その2
- ターゲティング その3
- ポジショニング その1
- ポジショニング その2
- ポジショニング その3
- マーケティングミックス(4P分析) その1
- マーケティングミックス(4P分析) その2
- 製品戦略①(製品とは) その1
- 製品戦略①(製品とは) その2
- 製品戦略②(新製品開発プロセス) その1
- 製品戦略②(新製品開発プロセス) その2
- 製品戦略③(製品ライン設計、PPM、製品陳腐化政策) その1
- 製品戦略③(製品ライン設計、PPM、製品陳腐化政策) その2
- 製品戦略③(製品ライン設計、PPM、製品陳腐化政策) その3
- 製品戦略④(製品ライフサイクル) その1
- 製品戦略④(製品ライフサイクル) その2
- 製品戦略⑤(プロダクトエクステンション) その1
- 製品戦略⑤(プロダクトエクステンション) その2
- 価格戦略①(製造コストとカスタマー・バリュー) その1
- 価格戦略①(製造コストとカスタマー・バリュー) その2
- 価格戦略②(価格設定の影響要因) その1
- 価格戦略②(価格設定の影響要因) その2
- 価格戦略③(価格設定手法) その1
- 価格戦略③(価格設定手法) その2
- 価格戦略③(価格設定手法) その3
- 価格戦略④(新製品の価格設定) その1
- 価格戦略④(新製品の価格設定) その2
- 価格戦略⑤(心理的価格設定、価格調整法、値下げ) その1
- 価格戦略⑤(心理的価格設定、価格調整法、値下げ) その2
- 流通戦略①(流通チャネルとは) その1
- 流通戦略①(流通チャネルとは) その2
- 流通戦略②(流通チャネルの種類) その1
- 流通戦略②(流通チャネルの種類) その2
- 流通戦略②(流通チャネルの種類) その3
- 流通戦略③(流通チャネル構築プロセス) その1
- 流通戦略③(流通チャネル構築プロセス) その2
- 流通戦略③(流通チャネル構築プロセス) その3
- 流通戦略④(チャネル変更とハイブリッド・チャネル) その1
- 流通戦略④(チャネル変更とハイブリッド・チャネル) その2
- コミュニケーション(プロモーション)戦略①(コミュニケーションの役割) その1
- コミュニケーション(プロモーション)戦略①(コミュニケーションの役割) その2
- コミュニケーション(プロモーション)戦略②(コミュニケーション手法) その1
- コミュニケーション(プロモーション)戦略②(コミュニケーション手法) その2
- コミュニケーション(プロモーション)戦略②(コミュニケーション手法) その3
- コミュニケーション(プロモーション)戦略③(プッシュ戦略とプル戦略) その1
- コミュニケーション(プロモーション)戦略③(プッシュ戦略とプル戦略) その2
- コミュニケーション(プロモーション)戦略④(メディアの種類) その1
- コミュニケーション(プロモーション)戦略④(メディアの種類) その2
- コミュニケーション(プロモーション)戦略⑤(コミュニケーション戦略立案プロセス) その1
- コミュニケーション(プロモーション)戦略⑤(コミュニケーション戦略立案プロセス) その2
- コミュニケーション(プロモーション)戦略⑤(コミュニケーション戦略立案プロセス) その3
- コミュニケーション(プロモーション)戦略⑥(AIDMA・AISAS・AISCEAS理論) その1
- コミュニケーション(プロモーション)戦略⑥(AIDMA・AISAS・AISCEAS理論) その2
- コミュニケーション(プロモーション)戦略⑦(レピュテーション・マネジメント) その1
- コミュニケーション(プロモーション)戦略⑦(レピュテーション・マネジメント) その2
- ブランド戦略①(ブランドとは) その1
- ブランド戦略①(ブランドとは) その2
- ブランド戦略①(ブランドとは) その3
- ブランド戦略②(ブランド・エクイティ) その1
- ブランド戦略②(ブランド・エクイティ) その2
- ブランド戦略②(ブランド・エクイティ) その3
- ブランド戦略③(ブランドの構築と展開) その1
- ブランド戦略③(ブランドの構築と展開) その2
- ブランド戦略③(ブランドの構築と展開) その3
- ブランド戦略④(ブランドの拡張と浸透) その1
- ブランド戦略④(ブランドの拡張と浸透) その2
- ブランド戦略④(ブランドの拡張と浸透) その3
- ブランド戦略⑤(コーポレート・ブランディング) その1
- ブランド戦略⑤(コーポレート・ブランディング) その2
- ブランド戦略⑤(コーポレート・ブランディング) その3
- マーケティングリサーチ①(意義と役割) その1
- マーケティングリサーチ①(意義と役割) その2
- マーケティングリサーチ②(必要な情報) その1
- マーケティングリサーチ②(必要な情報) その2
- マーケティングリサーチ②(必要な情報) その3
- マーケティングリサーチ③(手法とプロセス) その1
- マーケティングリサーチ③(手法とプロセス) その2
- マーケティングリサーチ③(手法とプロセス) その3
- マーケティングリサーチ④(注意点) その1
- マーケティングリサーチ④(注意点) その2
- 競争戦略①(競争戦略とは) その1
- 競争戦略①(競争戦略とは) その2
- 競争戦略②(リーダー企業の戦略) その1
- 競争戦略②(リーダー企業の戦略) その2
- 競争戦略②(リーダー企業の戦略) その3
- 競争戦略③(後続企業の戦略) その1
- 競争戦略③(後続企業の戦略) その2
- 競争戦略③(後続企業の戦略) その3
- カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM) その1
- カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM) その2
- カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM) その3
- カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)の実施と導入ポイント その1
- カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)の実施と導入ポイント その2
- ビジネスマーケティング(生産財マーケティング) その1
- ビジネスマーケティング(生産財マーケティング) その2
- ビジネスマーケティング(生産財マーケティング) その3
- ビジネスマーケティングと俯瞰思考 その1
- ビジネスマーケティングと俯瞰思考 その2
- ビジネスマーケティングと俯瞰思考 その3
- ソリューションの価値と価格への転換 その1
- ソリューションの価値と価格への転換 その2
- ソリューションの価値と価格への転換 その3
- グローバルマーケティング その1
- グローバルマーケティング その2
- グローバルマーケティング その3
- グローバルマーケティングにおける企業の条件 その1
- グローバルマーケティングにおける企業の条件 その2
- グローバルマーケティングのプロセスと注意点 その1
- グローバルマーケティングのプロセスと注意点 その2