ターゲティング その3
【ターゲティングの実践】
「非差別化マーケティング」「差別化マーケティング」「集中化マーケティング」のいずれかを選択し、市場に対してどのようにアプローチするのかを決定したあとは、ターゲティングの最終決定のための詳細な判断を行います。
細分化した市場から、どのセグメントがよりベストなターゲットなのかを判断するには、次の9つの指標が活用できます。
・市場規模(Realistic Scale)
・成長性(Rate of Growth)
・競合状況(Rival)
・顧客の優先順位(Rank)
・到達可能性(Reach)
・反応の測定可能性(Response)
(上記6つの指標を「6R」と呼びます)
・自社の経営資源
・環境要因
・ファイブフォース分析
それぞれの指標について、その概要を簡単にご説明しましょう。
<市場規模(Realistic Scale)>
規模が大きければ大きいほど、その市場・セグメントの魅力は高まります。
一方で、競合がすでに多い場合や新規参入社が増えやすいというマイナス因子があるため、総合的に判断することが大切でしょう。
いずれにしても、企業の経営を安定させるに足りうるだけの市場規模がなければ、ターゲットとして選定することはできません。
<成長性(Rate of Growth)>
市場規模が小さくても、成長性が高ければ可能性は大きくなります。
将来、確実に成長することが見込めるのであれば、早期に参入して先行者利益を得られることもあるでしょう。
ただし、成長性を完璧に見極めることはほぼ不可能なため、注意が必要です。
<競合状況(Rival)>
新規参入がしやすかったり、大きなシェアを有する先行企業がいる場合には、その市場・セグメントの魅力度は下がります。
また、多数の競合がいる場合にも、参入へのコストがふくらむことが多く、市場の魅力度は下がります。
<顧客の優先順位(Rank)>
ターゲティングを行う場合には、標的顧客に対する優先順位を明確にしましょう。
市場への影響力が大きい顧客を優先してターゲティングを実施することにより、マーケティング活動を容易に展開できる場合もあります。
<到達可能性(Reach)>
いくら市場・セグメントが魅力的でも、顧客に商品やサービスが到達できなければ意味はありません。
最近では、インターネットによる周知や販売も可能ですが、ターゲットによっては効果が薄い場合もあります。
<反応の測定可能性(Response)>
マーケティング活動は、効果測定によって、随時高めていかなければなりません。
そのためには、広告効果や顧客満足度などの反応を計測する必要があります。
効果が明らかにならなければ、改善や方針転換が難しくなるでしょう。
上記の他にも、「自社の経営資源」「環境要因」や「ファイブフォース分析」を駆使した6Rの総合的な判断を加え、市場・セグメントを評価してみてください。
ターゲティングは、その後の経営活動を大きく左右する意思決定です。
9つの指標すべてを検討するのは時間も労力もかかることですが、できるかぎり慎重に行うべきでしょう。
将来的には、ターゲットの変更や消費者動向も勘案しておくべきですね。
【まとめ】
・ターゲティングとは、標的とする市場セグメントを決めること
・市場攻略のアプローチには「非差別化マーケティング」「差別化マーケティング」「集中化マーケティング」の3つがある
・どのセグメントをターゲットとするかには、次の9つ指標を活用すべき
1.市場規模(Realistic Scale)
2.成長性(Rate of Growth)
3.競合状況(Rival)
4.顧客の優先順位(Rank)
5.到達可能性(Reach)
6.反応の測定可能性(Response)
7.自社の経営資源
8.環境要因
9.ファイブフォース分析
・ターゲットの変更もふまえて、消費者の動向に注意しておこう
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