環境分析のフレームワーク その3
<バリューチェーン分析>
「バリューチェーン分析」とは、原材料の調達から、最終的に商品やサービスが顧客のもとに届くまでの一連の企業活動を、価値の連鎖(バリューチェーン)としてとらえるためのフレームワークです。
企業活動を一覧で表示することにより、これまで見えてこなかった強みや弱みを把握することができるようになります。
業種ごとに企業活動の流れは異なりますので、それぞれのビジネスプロセスに合わせて使い分けましょう。
<4P>
「4P」とは、それぞれ「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」の頭文字をとったもので、市場や顧客に対するアプローチなど、戦略を構築するためのフレームワークです。
もちろん、自社のマーケティング活動に利用できるだけでなく、他社について分析することにより、市場環境の把握にも役立てることができます。
<プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)>
最後は「プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)」です。これは、自社の商品やサービスが、市場の成長率およびマーケットシェアという指標で判断した時に、どのように位置づけられるのかを分析するためのフレームワークです。
市場成長率が高くマーケットシェアが大きいものは「花形」、市場成長率が低くマーケットシェアが大きいものは「金のなる木」、市場成長率が高くマーケットシェアが小さいものは「問題児」、市場成長率もマーケットシェアも小さいものは「負け犬」と分類されます。
マネジメントに使えるフレームには関しては、「フレームワーク思考」でも詳しく説明していますので、こちらも合わせて読んでみてください。
【環境分析の注意点】
それでは最後に、フレームワークを活用した環境分析の注意点について、簡単にご紹介しましょう。
<注意点1.長期的な環境の変化に留意する>
環境分析は、長期的な視点で行わなければなりません。
なぜなら、市場環境はめまぐるしく変化するものですし、その多くは自分たちの思惑通りに変化するとは限らないからです。
フレームワークを活用した環境分析は便利ですが、長期的な視点をもってくり返し行う必要があることを忘れないようにしましょう。
<注意点2.継続的に行うことが大事>
環境分析を継続的に行うことによって、市場環境の変化に敏感になることができます。
これは、多くの企業がおおむね30年程度で倒産してしまうなか、生き残るための重要な指標だといえるでしょう。
フレームワークを活用し行った分析はそのままにせず、継続的に変化させ続けること。
そういった柔軟な姿勢が企業には求められています。
<注意点3.「機会か脅威か」「強みか弱みか」の判断は多面的思考で>
SWOT分析やPEST分析の項でもふれましたが、それぞれの要素は、必ずしも明確に分類できるとはかぎりません。
ですので、ある程度は思い切りよく分類する必要があるのですが、そのとき、ぜひ「多面的思考」を意識してください。
多面的思考とは、機会と思っていたものが脅威にもなりうる、あるいは弱みだと思っていたものが強みにもなりうる、という複眼的な視点のことですね。
【まとめ】
・環境分析は「モレなくダブりなく(MECE)」行うべき
・フレームワークを上手に活用することによって、誰でもMECEが実践できるようになる
・環境分析の際に利用できるフレームワークには、次のようなものがある
3C分析
SWOT分析
PEST分析
ファイブフォース分析
バリューチェーン分析
4P
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)
・フレームワークは、必要に応じて使い分けると、より効果的になる
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