コミュニケーション(プロモーション)戦略①(コミュニケーションの役割) その1
【コミュニケーション戦略の役割】
これまで、マーケティング・ミックスの基本プロセスである4P(製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion))のうち、「製品」「価格」「流通」の3つを学んできました。
ここからは、4つ目の「プロモーション」(コミュニケーション戦略)について学習していきましょう。
そもそもプロモーションとは、「販売促進活動」のことを指しますが、顧客に自社の製品やサービスを知ってもらう活動は必ずしも販売促進だけではなく、「情報伝達全般」も含みます。
そのため、ここではプロモーション戦略とは呼ばず、コミュニケーション戦略として解説を進めていきましょう。
マーケティング・ミックスの流れの中で、優れた製品が完成し、適切な値付けを行い、流通経路(流通チャネル)も構築できた。
しかしそれだけでは、製品を販売することはできません。
なぜなら、顧客はその製品を知ることができないからです。
とくに数多くの商品が市場に出回っており、随時更新されている現代においては、周知されていない商品が選ばれるということは極めて少ないでしょう。
たとえば、普段の買い物を思い浮かべてみてください。
毎日購入する食品から日用品、あるいは雑貨、その他趣味のためのグッズなど、その多くはすでに知っていたものを購入しているのではないでしょうか。
顕著なのはテレビやラジオのCM、最近ではインターネット広告などで見かけた商品などでしょう。
いかに優れた製品を持っていたとしても、その存在を顧客が知らなければ購入してくれることはありませんし、その製品の存在を知っていたとしても、製品に関しての適切な情報を持っていなければ数多ある競合他社の製品の中から選ばれることはありません。
しかし、反対に顧客とのコミュニケーションを適切にとれていれば、競合他社より優位なポジションを築くことができます。
そのため、プロモーションを含めた顧客とのコミュニケーションはとても重要なのです。
詳しくは後述しますが、そうした消費者側の認知、つまりは製品(企業)と顧客とのコミュニケーションが、これまでマーケティング・ミックスにおいて進めてきた工程の仕上げとして、製品の購買に直接つながるのです。
そう考えると、いかに顧客とコミュニケーションを行うか、つまりはコミュニケーション戦略の構築がいかに大事かお分かりいただけることでしょう。
ただ、顧客とのコミュニケーションを行うにあたっては、とにかく周知させれば良いというわけではありません。
たしかに知ってもらうことは大事ですが、その製品の必要性を感じていることに加え、購入の意思決定に至る準備ができていない相手に伝えても意味はありません。
むしろ、必要性を感じていない相手に製品の特徴を説明しても嫌がられるだけでしょう。
また、製品の特徴に興味をもっている人に対し、製品名だけを連呼しても購入には至りません。
だからこそ、これまでのマーケティング・ミックスで培われたデータを踏まえつつ「誰が、いつ、どのように」コミュニケーションを行うのかが重要になります。
【例題】
それでは、コミュニケーション戦略の役割について、例題を通じてさらに理解を深めていきましょう。
マーケティング・ミックスの4Pを今一度思い出し、その一環としてコミュニケーション戦略を考えることによって、顧客に対してより最適なアプローチが導き出せます。
ぜひ、その点を意識しながら読み進めてみてください。
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