ポジショニング その1
【ポジショニングとは】
自社や他社、市場の環境分析を行い、マーケティング課題を特定し、さらにはセグメンテーションとターゲティングを経て開発された製品やサービス。
これらは、マーケティング活動の王道をしっかりと歩んできたなかで開発されたこともあり、企業側としては大きな期待を寄せることでしょう。
しかし、優れた製品やサービスを開発すれば、それだけで売上があがるわけではありません。
そこには、決定的に欠けているものがあります。
それが何だか分かりますか?
ピンとこない方は、自分が商品やサービスを購入するときを想像してみるとイメージしやすいでしょう。
そうです、「顧客に対していかに認知させるか」という要素ですね。
それも、「競合製品に対してどのくらい魅力的か」や「最終的に購買にいたるだけの性能を備えている」など、より具体的に理解されなければなりません。
そこで、次のステップとして「ポジショニング」を行う必要があるのです。
ポジショニングとは、ターゲットとして定めた顧客に対して、自社の製品やサービスがいかに魅力的なのかを認知させるための活動です。
マーケティング活動を通して開発された製品やサービスは、たしかに競合他社のものよりも優れているかもしれません。
しかし、それが顧客に正しく認知されてこそ、商品としての価値を得られるのですね。
もちろん、ポジショニングは、既存の製品やサービスだけでなく、これから開発を行う段階でも有効に作用する手法です。
将来的なマーケティング・ミックス(4P:製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)を決めるためにも、ポジショニングによる分類が役に立つことでしょう。
とくに重要なのが、「いかに差別化を行うか」という視点です。
既存の商品が市場にある場合、同じレベルのものを投入しても、新しい顧客を獲得することは難しいでしょう。
また、いくら優れた製品やサービスでも、顧客の最終意志決定要因(購買動機)となりうる「価格」や「機能」に落ち度があれば、購入にいたることはありません。
だからこそ、ターゲット顧客が重要視する要素を意識しつつ、差別化を行うことが重要となります。
それでは実際に、どのように差別化を実施すればよいのでしょうか。
具体的に差別化するべき要素を判断をするためには、次の4つの指標が活用できます。
・「製品」の差別化
→機能、価格、特徴、性能のばらつき、品質、耐久性、信頼性 など
・「サービス」の差別化
→速やかな配送、設置、顧客対応、コンサルティング、修理 など
・「社員」の差別化
→スキル、対応力、丁寧さ、安心感、反応の迅速さ、対話力 など
・「イメージ」の差別化
→メディアへの露出、各種イベント、シンボル、建物や空間 など
大抵はどの市場にも、すでに既存の製品やサービスがあふれているものです。
ですので、イノベーティブな製品を生み出そうと考えるのなら、ポジショニングを工夫してみると良いでしょう。
同じ製品でも、どのように顧客に認知させるかによって、とらえ方は大きく異なります。
場合によっては、使い方や利用シーンを新しく提案するだけでも、画期的な発明だと認識されるかもしれません。
このことからも、いかに打ち出し方が重要かお分かりいただけるでしょう。
ただし、いかにその製品が優れているかを主張したいがために、ウリとなる要素をただ単に羅列するだけでは、顧客の心をつかむことはできないでしょう。
場合によっては、その製品の訴求ポイントにぶれが生じてしまい、ブランド価値をいたずらに傷つけてしまうということもあるかもしれません。
顧客にどのように認知されたいかという視点とともに、軸となるコンセプトも意識しておきましょう。
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