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ブランド戦略④(ブランドの拡張と浸透) その2

【例題】
それでは、例題をとおして、ブランドの拡張についてより深く学んでいきましょう。

 

ブランドを拡張する際には、ただ収益をあげることだけを考えるのではなく、既存のブランドを活用していかに事業を拡大できるのかを念頭に置かなければなりません。

 

そのためにはまず、既存のブランドがどのような特性をもっているのかを知ることが大切です。

 

<例>
中小企業から大企業向けにWEBデザインを行っているA社は、ここ数年で大きく収益が悪化していました。

 

その原因には、時代の変化を含めたさまざまな要素が考えられていましたが、そのなかでも特に注目されているのがクラウドソーシングサービスの台頭です。

 

クラウドソーシングを利用することによって、企業がより安価にWEBデザインを発注できるようになったのです。

 

もちろんA社としても、そうした状況を指をくわえて見ていたわけではありません。

 

会社としてクラウドソーシングを利用することによって、より安価で高品質のサービスを提供できるように試行錯誤していました。

 

しかし、その努力もむなしく、WEBデザインそのものの単価の下落についていけず、現在のような危機的状況に陥ってしまったのです。

 

ただ、A社は幸いにも、キャラクター事業が好調でした。

 

社内にいるデザイナーが制作したさまざまなキャラクターが、幅広く活躍していたのです。

 

たとえば、流行しているLINEスタンプやその他のチャットサービスでも使える顔文字、あるいは地方のゆるキャラなど、その活動の幅は多岐にわたります。

 

しかも、どれも単体で収益力があるために、A社の業績を根っこから支えていたのです。

 

そこでA社の社長であるYさんは、それぞれのキャラクターをブランド化し、さらにはそのブランドを長期的に多角化することを計画しました。

 

ひとつひとつのブランドが着実に成長するかどうかは分かりませんが、それでもブランド育成に将来性を与えることによって、より効率的にキャラクターを運用できると考えたのです。

 

具体的には、これまでスマートフォン向けに活躍していたキャラクターに関しては、そのままの特徴を生かしつつ食品や日用品などのリアルの場面に。

 

反対に、ゆるキャラのように一般的に広まっているキャラクターに関してはWEB上での応用を目指すなど、顧客ターゲットやイメージを傷付けないように最低限の変革をしていきました。

 

その結果、キャラクターたちをより強力にブランド化でき、いくつかのキャラクターに関してはその知的財産がそのままA社の強力な収益源となりました。

 

かつてはデザインの業務を受注して発注するだけのデザイン事務所だったA社が、広告やマーケティング活動で経営を安定化させることに成功したのです。

 

 

<解説>
既存のブランドを正しく理解することによって、その先にある応用や将来的な活用法が見えてきます。

 

A社のようにキャラクターでなくとも、商品郡のブランド名やロゴ、あるいは事業部ごとのネーミングがそのまま他の事業に転用できることもあるのです。

 

例えば、人気お笑い芸人とんねるずの木梨憲武さんは「木梨サイクル」というブランド名で帽子やTシャツ、バッグなど、色々なグッズの販売を行っています。

 

しかし、「木梨サイクル」は元々、木梨憲武さんの実家の自転車屋さんの名前です。

 

自転車屋の名前(実際は自身のネームバリュー)をブランド化して、グッズ販売という異なる事業を行っているのです。

 

そして木梨サイクルのグッズは今では人気商品となっています。

 

もちろん、木梨憲武さんの知名度があってこそできるブランド戦略ではありますが、こういったブランド展開も可能であるということを覚えておきましょう。

 

企業はそのブランドのもたらす効果を予測しつつ、正しく運用することが求められるのです。

 

 

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