流通戦略②(流通チャネルの種類) その3
<解説>
消費者の数が増えれば増えるほど、また、消費者の需要が多種多様になればなるほど、製造メーカーが独自に製品を流通させるのは難しくなります。
たとえITを駆使しても限界はあるのです。
より最適な市場に製品を投入し、ターゲット顧客に周知されるためには、卸売業者を介して小売業者へとアプローチすることが効率の面から考えても重要なのですね。
【段階別にみる流通チャネル】
次に、流通チャネルを段階別にみていきましょう。
流通チャネルはその性格上、取り扱う製品によって関わり方が変わってきます。
また、業界によっては、直販のところもあれば卸売業者を介在させているところもありますよね。
一般的には、製品がコモディティ化するほど、間に入る流通業者は多くなるとされています。
<?ゼロ段階チャネル>
製造メーカーが顧客に直接製品を販売する形態が「ゼロ段階チャネル」です。
間に卸売業者や小売業者は入りません。
たとえば、訪問販売に特化している製薬会社や化粧品会社、あるいは通信販売会社が当てはまります。
販売活動をコントロールしやすく、他社の製品に気を使わなくて良いという特徴があります。
<?1段階チャネル>
製造メーカーと消費者の間に流通業者がひとつ介在するのが「1段階チャネル」です。
自動車や家電などは、販売店(小売店)のみが関係する1段階チャネルの代表ですね。
これまではメーカー側が主導して販売方法などを指導してきましたが、最近では、多くの製品を取り扱う大型小売業者の発言力が強まる傾向にあります。
<?2段階チャネル・3段階チャネル>
3つ目は、製造メーカーと顧客との間に複数の流通業者が介在する「2段階チャネル・3段階チャネル」です。
消費財の多くは、卸売業者と小売業者が間に入る2段階チャネルとされています。
また、食料品や日用品など、比較的低単価で購買頻度が高い最寄り品の場合には、さらに二次卸が間に入る3段階チャネルとなっています。
【その他の形態】
最後に、段階別では分類できない、特殊な形態の流通チャネルをみていきましょう。
代表的な「マルチレベル方式」「フランチャイズ方式」「ライセンス方式」の3つの形態をご紹介します。
<マルチレベル方式>
「マルチレベル方式」とは、消費者のネットワークをフルに活用した販売システムです。
核となるメンバーが新しい会員を増やしつつ、また個人事業主として製品を買い取って販売することにより、消費者に製品を届けています。
傘下の会員が売り上げを伸ばすことでバックマージンが増える形態のため、詐欺まがいのマルチ商法やネズミ講などと勘違いされるマイナス面もあります。
<フランチャイズ方式>
ビジネスの提供者であるフランチャイザーから、製品やトレードマーク、システム使用権を得て行うのが「フランチャイズ方式」です。
代表的なものにコンビニエンスストアや各種飲食店があります。
販売促進のためのさまざまなサポートを受けられる反面、店舗側は一定のロイヤリティを支払わなければなりません。
<ライセンス方式>
ブランドやキャラクターの使用権などを他社に貸し出すビジネスが「ライセンス方式」です。
認知度が高く、社会的に受け入れられているブランドやキャラクターを使うことで、製品の販売を拡大することが可能となります。
もっとも活用されているのが映画やコミックなどのエンターテイメント業界で、団体や個人のスポーツ選手なども活用されています。
【まとめ】
・流通チャネルには「自社の流通組織(営業)」と「外部の流通組織」がある
・さらに外部の流通組織は「小売業者」と「卸売業者」に分けられる
・流通チャネルには、次の3つの段階がある
?ゼロ段階チャネル
?1段階チャネル
?2段階チャネル・3段階チャネル
・その他にも「マルチレベル方式」「フランチャイズ方式」「ライセンス方式」という形態が存在する
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