ビジネスマーケティングと俯瞰思考 その1
【ビジネスマーケティングのポイント「俯瞰思考」】
ビジネスマーケティングにおいては、一般的なマーケティングとの相違を意識することが大切です。
前回の記事でお話ししたとおり、「顧客の性質」および「製品の性質」の観点から違いを認識しておくことで、どのような視点からマーケティングを行えば良いのかが見えてくることでしょう。
もっとも、基本的な部分は同じです。
マーケティングの本質が市場の要求をつかみ取ることにあるとすれば、相手が一般顧客であっても企業であっても、考えることはそう大きくは変わりません。
市場から選ばれるということは、選ばれるだけの理由を備えているということですよね。
つまり、競合他社のものよりも魅力的な何かがあるということです。
それが価格なのか、それとも製品の性能なのか、あるいはサービスなのかはさまざまです。
自社の強みを把握し、上手に生かしつつ市場に適合することができれば、それだけでマーケティングの大きな目的は達成されることでしょう。
あとは、時代の流れに応じてカスタマイズをくり返すことになります。
ただし、ビジネスマーケティングの場合は、相手が単体ということはありません。
つまり、ペルソナとしての個人を描くことが難しく、ターゲティングはより複雑な工程を経てなされることになります。
そのときに、必要なのが「俯瞰思考」です。
俯瞰思考とは、高いところから全体を見渡して考えることですね。
この俯瞰思考ができないと、ビジネスマーケティングはうまくいきません。
個人を相手にするのと同じように市場化を目指そうとしても、その全体像を把握できていなければ、最適な手法を導き出すことはできないのです。
誰に営業をかければいいのか分からずに、どうやって製品のプロモーションをすればいいのでしょうか。
だからこそ、ビジネスマーケティングにおいては、まず対象となる組織あるいは企業を俯瞰で見ることからはじめるべきなのです。
簡単に言えば、全体を視覚的に明らかにするということですね。
物や人の流れ、あるいは決定のされ方などについて、マッピングするというのもひとつの方法でしょう。
図式化すれば、共有も容易になります。
また、フレームワークを活用するという方法もあります。
経営戦略の場面で一般的に使われているような「バリューチェーン分析」や「ファイブフォース分析」などを応用して、その企業や関係組織を明らかにするのです。
そうすれば、どこに対してどのようにアプローチすればいいのかが明らかになります。
そのような俯瞰思考が根底にあれば、具体的な打ち手が明らかになります。
ビジネスマーケティングという大きなくくりの中で、個別の戦略、あるいは戦術が見えてくることではじめて、現場への指揮命令も機能することでしょう。
もちろん、現場の人間にも俯瞰思考を浸透させることが大切です。
営業パーソンひとり一人が俯瞰思考をもって営業活動を行えれば、それだけで効率は上がります。
闇雲に営業をかけても、あるいは広告を行っても、効果が限定的なのは一般的なマーケティングでも同じですよね。
ビジネスマーケティングにおいては、取引の額が大きいということもあり、その差は顕著に表れます。
詳しくは後述しますが、俯瞰思考によって明らかにすべきなのは次の2点です。
・関係者を把握する?業者
・関係者を把握する?社内
つまり、対象企業に関係する業者を洗い出すことが一点。
そしてもう一つは社内の関係性を把握すること。
その2つの工程を経て、ビジネスマーケティングのはじめの一歩が踏み出せるようになります。
そうした分析を事前に行わずにマーケティングを実施しても、表面的な成果しか得られないということを、あらかじめ認識しておきましょう。
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