ソリューションの価値と価格への転換 その3
【価値を価格へと転換させる】
とくにビジネスマーケティングにおいては、製品の性能や価格だけでなく、ソリューションが大事になってくるということはご理解いただけましたでしょうか。
費用やその製品を導入した際の効果をシビアに判断している企業だからこそ、ソリューションという付加価値をつけることによって、他社製品との差別化を図らなければなりません。
そして、ソリューションに価値を感じてもらい、他社製品よりも優先的に選んでもらえるようになれば、次はその価値を価格へと転換させることを考慮しなければなりません。
いくら製品が選ばれても、顧客から高い評価を得ても、利益があげられなければビジネスは途中で頓挫してしまいます。
利益至上主義は問題ですが、なくてはならないものということもまた事実なのです。
コスト意識が強いだけでは、価値を価格へと転換させることはできないでしょう。
費用を削るのは経営を安定させるのに重要な事ですが、その前にまずは提供している価値を正しく判断することからはじめなければなりません。
費用を削減することと、新しい価値を価格に転換することは、お金という部分では共通していますが似て非なるものです。
価値を価格へと転換させるには、現場が主導して顧客に提供している価値の値段を測ることが大切です。
その際、どのくらいのコストがかかっているから、その費用に見合うだけの価格にしようと考えてはいけません。
それでは、対コストベースの価格設定しかできず、より多くの利益を逃してしまう可能性があります。
では、どうすればいいか。
自社の製品を利用することによって、顧客がどのような利益を得ているかを把握するのです。
たとえば、人件費が1,000万円削減できているのなら、価格に500万円を上乗せしても妥当ということになります。
そういった発想で、提案ベースの価格設定をすることが大切です。
これが、コストベースの価格設定ではどうでしょう。
たしかに顧客から選ばれるかもしれませんが、薄利多売で多大な労力がかかり、挙句の果てに価格競争に飲み込まれてしまうでしょう。
せっかくのソリューションについても、なんのために付加しているのか分かりません。
企業経営は慈善事業ではなく、あくまでも営利活動なのです。
自社が提供しているソリューションに明らかな価値があるのであれば、その価値を正確に試算し、価格に上乗せしましょう。
それだけの価値があるのですから、顧客が離れてしまうということは考えにくい。
むしろ、適正価格をつけたことで顧客が離れていってしまうとしたら、それはソリューションの価値を多く見積もってしまっている証拠です。
資金があれば新しい試みも可能となります。
より多くの資金を投入して、既存顧客に新しい価値を提供することも可能なのです。
自社のことだけを考えるのではなく、一緒に成長できるような提案ベースの製品開発、および価格設定をしていく。
それが結果として、業界全体の改善にもつながり、経済そのものを発展させることにつながるのではないでしょうか。
ビジネスマーケティングにおいては、そのような価値を価格へと転換させる発想をつねに持たなければならないのです。
【まとめ】
・大手企業の下請けとなってしまえば、業績が景気に大きく左右されてしまうことになる
・下請け企業から脱却するために、製品の提供から「ソリューション」の提供へと進化しなければならない
・ソリューションを追求することは、取引先の御用聞きをすることではなく、新しい価値を提供し続ける努力をすること
・ソリューションという価値を価格に転換してはじめて、事業経営は安定する
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