マーケティング戦略策定プロセス その2
<解説>
A社が行ったマーケティング戦略の策定について、冒頭にお話しした「6つのプロセス」と照らし合わせながら、具体的に見ていきましょう。
<情報の分析>
(1.マーケティング環境分析 2.マーケティング課題の特定)
A社の環境を分析してみると、内部的には「地域密着型」という強みがあり、反面、外部的には「規模や店舗数で劣る」ということが明らかになりました。
その結果、現在の状況のまま大手企業と安売り競争をしていては生き残る道はなく、独自路線で差別化するべきだという結論に至りました。
マーケティング課題は「利益率の向上」です。
<戦略の立案>
(3.標的市場の選定 4.ポジショニング 5.マーケティング・ミックスの最適化)
セグメンテーションとしてA社が注目したのは、店舗周辺の地域、ターゲットとしたのは高齢者です。
店舗で販売する形態の場合、どうしても来店が必要となりますが、直接訪問や配達サービス、修理、メンテナンスに力を入れることにより、いざという時に頼りになる電気屋というイメージを定着させることにしたのです。
また、店舗での販売量そのものは落ち込むことが予想されるため、インターネットによる通販にも力を入れることにしました。
その結果、店舗には最低限の人員を置くだけですむようになり、不用意に在庫を抱える必要もなくなりました。
地域の高齢者にはカタログで、遠方の方にはネットで対応できるようになったのです。
<実行>
(6.実行計画の策定)
マーケティング戦略を実行するにあたっては、可能な限りコストをかけず、今ある資源を有効活用することにしました。
たとえば、店舗内の人員は必要最低限にし、訪問営業に力を入れる。
在庫管理費を削減する代わりに、webサイトや販売システムなどのインターネット関連費用にまわす、などですね。
また、これまでのような販売数ではなく、最終的な利益率を目標に掲げるなど、チェック体制にも変化をもたせています。
【分析から立案、実行のプロセス】
マーケティング戦略を策定するには、分析、立案、そして実行というプロセスを経る必要があるというお話でした。
それでは最後に、それぞれの工程について、詳しく解説していきます。
業種や規模、環境、市場によって最終的な結論は異なりますが、戦略策定時に行うべきプロセスについては、大きな違いはありません。
実際に応用できるようにするために、しっかりと理解しておきましょう。
<1.マーケティング環境分析>
マーケティングの環境分析においては、市場における機会と脅威を整理し、自社の強みや弱みを把握しつつ、総合的な戦略へとつなげることが大切です。
フレームワークとしてはSWOT分析(強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) )が活用できるでしょう。
さらに、その分析結果から課題を算出していきます。
<2.マーケティング課題の特定>
マーケティング環境分析を終えたら、詳細な分析を行う前に、マーケティングによってどのような問題を解決したいのかという「課題の特定」を明確にしておきましょう。
環境分析によって明らかになった自社の強みや弱み、あるいは市場における機会や脅威を確認すれば、比較的容易に判断できるかと思います。
その際、取り組むべき課題が複数あると判明した場合には、優先順位をつけることも忘れずに行いましょう。
そうしなければ、何を優先すべきかを判断する際に、個々人の認識にブレが生じることになり、望ましい結果が得られにくくなります。
最終的に実行して成果をあげるためには、理想的なゴールを全社的に共有しておくことが重要になるのです。
マーケティングは、一部の人間だけで行うものではないのですね。
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