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コミュニケーション(プロモーション)戦略④(メディアの種類) その1

【メディアとは】
製造メーカーや卸売業者、あるいは小売店が発信するさまざまな情報は、メディアを通じて顧客へと伝達します。

 

とくに近年では、インターネットの普及によって情報の全体量が増大し、また商品やサービスの提供側だけでなく消費者側からの情報配信も増えました。

 

今では個人単位でも大きな影響力をもった人がたくさんいます。

 

そうした現状を踏まえて、それぞれのメディアの特性を把握しつつ利用していくことは企業活動を軌道に乗せるためにも不可欠です。

 

業種や職種だけでなく、商品やサービスの性質、あるいは時期や季節なども加味しながら最適なメディアを選択して情報配信を行わなければ、顧客に対して効果的にアプローチすることができないのです。

 

ある意味では、企業のコミュニケーション戦略とメディアは切っても切れない関係と言えます。

 

そこでまずは、メディアの種類から把握しておきましょう。

 

メディアは大きく「マスメディア」「屋外メディア」「流通チャネル」「ダイレクトメディア」「デジタルメディア」に分類することができ、さらにマスメディアは「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」に分けられます。

 

コミュニケーション(プロモーション)戦略(メディアの種類)

 

詳しい解説は後述するとして、ここではそれぞれのメディアの特性を簡単にご紹介いたしましょう。

 

まず4大マスメディアは高い認知度を得られる反面、費用が高額になるというデメリットがあります。

 

屋外メディアは特定地域に対しては強いものの改変性に乏しく、流通チャネルは購買シーンにおいて顧客にアプローチできますが、情報のコントロールが難しいというマイナス面もあります。

 

ダイレクトメディアは1対1のコミュニケーションに力を発揮しますが、コスト効率が必ずしも良くありません。

 

また、顧客情報の取り扱いに注意が必要となります。

 

デジタルメディアは膨大な情報量を誇りますが、一方で情報の波に埋もれてしまう可能性があります。

 

消費者側からすれば信頼性が乏しいとの批判もあるでしょう。

 

 

【例題】
それでは、例題をとおしてメディアの種類や特性について理解を深めていきましょう。

 

私たちは日頃からさまざまな情報に接していますが、その多くは受動的に受け取っているものばかりです。

 

そのなかで、有益でないと判断された情報が注目をあびることは少ないのが現状です。

 

メディアの性質とともにその中身においても考えてみてください。

 

<例>
創業企業を中心に取材を行い、WEB上でPR活動を支援しているA社は、ベンチャー企業でありながらここ数年で業績を伸ばしています。

 

インターネットの普及に伴い、閲覧者が増加したことがその背景にありました。

 

今後は、WEB上でもより高品質な記事が求められていることは明らかです。

 

しかし、最近では競合他社もインタビューや対人取材をとおしてより良質な記事を配信しようと躍起になっています。

 

A社としても、優秀なライターやジャーナリスト、あるいはデザイナーやプログラマーを雇って体制を整えているのですが、いずれは市場が飽和状態になってしまう可能性は否めません。

 

たしかに創業企業は次から次へと誕生していますが、倒産してしまっている企業がいることもまた事実。

 

そうした現状を加味して、A社の社長であるOさんは、ただ闇雲に創業企業をインターネット上で掲載するだけでいいのかと疑問を感じていました。

 

広告収入に関しても競争が激化すれば頭打ちになってしまいます。

 

そこでO社長は、新しいメディアに挑戦することを決意しました。

 

これまでのWEBメディア中心主義から脱却することにしたのです。

 

創業企業を取材して有益な情報を配信することによって広告収入を得るというビジネスモデルに変更はありませんが、新しいメディアを通じてより社会的に周知されることを狙っての事業展開です。

 

そのためにはまず、メディアの種類について社内で検討することにしました。

 

現在活用しているメディアはインターネット、いわゆる「デジタルメディア」なのですが、そこから自社サービスの性質などもかね合わせて考えつつ、他のメディアを利用できないか模索します。

 

会議は連日行われました。

 

O社長の目論見としては、インターネットという無料な媒体というコンセプトはそのまま維持したいと考えていました。

 

なぜなら、今の時代お金を払ってでも広告を見たいという人は皆無だからです。

 

それは、各種のメディアが衰退していることからも明らかでしょう。

 

とくに著しいのが雑誌の落ち込みです。

 

A社が調査したところによると、若者の活字離れは雑誌離れに端を発していることが分かりました。

 

つまり、雑誌を読まなくなったことが結果的に書籍離れにつながり、最終的には大きな活字離れへとつながっていたのです。

 

これは、一部の人だけのことではなく、勉強が本業であるはずの大学生でも同じでした。

 

そうした現状を鑑みれば、新しく雑誌に参入しようとするのは明らかに無謀です。

 

売れないものをつくっても、ただただ赤字を垂れ流すだけでしょう。

 

とくに出版社の数はたくさんありすぎるほどですので、これから新たに参入しようと考えても、雑誌を投入するのは得策とは言えそうもありません。

 

しかし、O社長が目をつけたのはこの点でした。

 

なんと、A社が制作したコンテンツを無料の雑誌として創業企業に配ることにしたのです。

 

コンテンツに関しては、これまでA社がWEB上で公開してきたものを平行して活用し、雑誌にはオリジナルの広告枠を設けることにしました。

 

送付に関してもこちらから自主的に行うことで、自ら選ばれるのを待つ必要がありません。

 

A社のこの試みは、マスメディアに参入するということを意味するのではなく、マスメディアとしての雑誌の弱点を補うかたちでの新しい活用方法でした。

 

役立つコンテンツが雑誌という媒体で自動的に送付され、そこに広告があるだけなら拒否する人はほとんどいません。

 

しかも、とくに創業企業は有益なコンテンツを欲しているものです。

 

A社の新しい施策は狙い通り好評を博しました。

 

また、雑誌を皮切りにして、テレビやラジオ、新聞などのマスメディアにも進出し、さらにはオリジナルのダイレクトメディアを活用することも検討しています。

 

A社のメディア戦略は、WEB依存から脱却することによってさらに加速し始めたのです。

 

 

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