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製品戦略④(製品ライフサイクル) その1

【製品ライフサイクルとは】
マーケティングにおける製品戦略を考える際には、製品そのものについてや、製品ラインについて考慮するだけでは不十分です。

 

それだけでは、製品が持つ性質を生かして戦略を構築することができませんし、なにより企業を存続させていくための長期的な方向性がみえてきません。

 

大切なのは、持続的に収益をあげるための仕組みなのです。

 

そこで考慮するべきなのが「製品ライフサイクル」です。

 

製品ライフサイクルとは、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」からなる、製品の成長過程のことです。

 

つまり、新製品が発表されてから撤退するまでの、一般的な流れのことですね。

 

製品ライフサイクルを把握しておくことにより、時期に応じた最適な対応ができるようになります。

 

製品戦略(製品ライフサイクル)

 

そもそも、どんな製品も永続的に売れ続けるということはありません。

 

時代の流れや社会的なブームによって一世を風靡することもあれば、少しずつ認知されていき、やがて企業にとっての大きな収益源へと成長することもあります。

 

それは、製品や、その製品が属している市場の特性が影響していますので、一概には言えません。

 

しかし、そうは言っても、製品が売れる大きな流れは存在しています。

 

すべての製品を一般化してライフサイクルに照らし合わせることはできませんが、大きな傾向のようなものとして理解してください。

 

そうすることで、自社が取り扱っている製品がどこに向かうのか、その指標を得ることができます。

 

くれぐれも、盲信しないことが大切でしょう。

 

 

【例題】
それでは、例題をとおして、製品ライフサイクルへの理解を深めていきましょう。

 

製品がどのような過程を経て成長していくのか、また、最終的にはどのような時点で撤退の判断をすれば良いのか。

 

そういった点を考慮しつつ製品を開発・運用することによって、コストの削減だけでなく、市場を創出することにもつながるでしょう。

 

<例>
コンピューターのプログラムを開発しているC社は、売上げアップのために、ヒット商品である会計ソフトのテコ入れを行おうと画策しています。

 

そのため、経営幹部や営業部長、戦略企画部スタッフを集めて、連日、会議を行っていました。

 

それというのも、ここ数年で安価な類似商品が多数販売されており、C社が市場における存在感をアピールできていないのです。

 

たしかに、C社が開発した会計ソフトは、発売当初は爆発的な売上を記録しました。

 

時代が紙からコンピューターへと移り変わる頃だったこともあり、また、市場を開拓しただけでなく、他社が追随できないノウハウを盛りこんでいたことがその主な要因だと考えられています。

 

C社としても、かつての輝きを取り戻そうと躍起になっています。

 

ただ、既存の会計ソフトをどのように改編するべきなのかは、具体的なアイデアがなかなか出てきませんでした。

 

市場の需要としても、ソフトウェアからクラウドへと移行している現状を加味すれば、かつての成功を意識しすぎるのも問題なのかもしれません。

 

戦略企画部のYさんは、経営幹部が過去の栄光にしがみついていることを、そのように危惧していました。

 

 「新しいクラウドサービスや、アプリケーションを開発するべきかもしれない……」

 

そう考えたYさんは、次の会議で経営幹部を説得しようと決意しました。

 

ただ、実際に過去の売上を考慮すれば、経営幹部の人たちに、会計ソフトからの脱却について納得してもらうのは容易ではありません。

 

だからといって、既存の会計ソフトを改編するだけではC社に未来はないでしょう。

 

そこでひらめいたのが、「製品ライフサイクル」の活用でした。

 

製品ライフサイクルについて理解してもらうことによって、なぜ既存の会計ソフトを改編するだけでは不十分なのかを説くのです。

 

Yさんは、時代の移り変わり、市場のニーズ、顧客の変化などの情報を集められるだけ集め、次のように会議で発表しました。

 

「導入期から成長期にかけて売上を伸ばした会計ソフトは今、成熟期を越え、すでに衰退期に入っています。たしかに、過去、記録した売上は目覚ましいものがありますが、現状ではいくら改良してもかつてのような売上をあげることはできないでしょう。しかし、打つ手はあります」

 

Yさんが提案したのは、会計ソフトの開発で得たノウハウを、多角的に利用するというものでした。

 

すでにビッグデータはそろっています。

 

それらを活用して、「会計のコンサルティング」「書籍の出版」「企業研修の実施」などのサービスを、クラウドやアプリケーションとして打ち出すというものです。

 

その斬新な発想は、C社の経営幹部たちの意識を変化させました。

 

 

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