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ブランド戦略A(ブランド・エクイティ) その2

ブランド戦略A(ブランド・エクイティ) その2

【例題】
それでは、例題をとおして、ブランド・エクイティについての理解を深めていきましょう。

 

ブランドの資産価値を正しく評価するためには、そのブランドがいかに社会的に認知されているかを知るだけでは不十分です。

 

認知度だけで判断せず、「何によって」「どのように」「結果、顧客はどうなっているか」などを考慮することが大切です。

 

<例>
これまでに無い、斬新な自動車の開発・製造を行っているA社では、常に、これからの社会でも受け入れられる新しい自動車の構想を練っています。

 

かつてはソーラーカーを実用化するために奮闘していましたが、最近では電気自動車をはじめとするエコカーや水素自動車などの研究をしつつ、未来の車社会をリアルにイメージしています。

 

ただ、自動車の開発には莫大なお金がかかります。

 

事業を回すために、これまでは国の補助金や地域からの支援、あるいは大手自動車メーカーからの援助によって資金を捻出していましたが、これから先もそうした資金が入ってくるとは限りません。

 

また、援助がある以上、一定程度の制約のもとで開発をしなければならないという苦しさもあります。

 

そこでA社では、はやりの「クラウドファンディング」を活用することにしました。

 

クラウドファンディングとは、不特定多数の人がインターネットなど通じて、特定のプロジェクトやその組織に寄付をする仕組みのことです。

 

寄付した人はその対価として、新製品の情報や割引での購入権利を得られるなどのメリットがあります。

 

そこで、実際にクラウドファンディングを活用する前に、A社に対するイメージや評価をリサーチすることにしました。

 

募集を呼びかけても資金が集まらなければ意味がないからです。

 

あわせて、これから開発を進めていこうと考えている「コンパクトエコカー」についての印象も調査してみることにしました。

 

大々的に消費者の印象をリサーチするのはA社にとって初めての試みです。

 

その結果、思いもよらない意見が集まりました。

 

なんと、消費者の大半はA社のことを「ソーラーカーを開発する会社」としてしか認識していなかったのです。

 

そればかりか、電気自動車をはじめとするエコカーに対する印象は「燃料費が気になる」「スピードやパワーに不安がある」「充電スポットが整備されていない」などのマイナス意見が目立っていました。

 

「これでは、いくらクラウドファンディングで資金を募集しても、希望額には届かないかもしれない……」

 

そう危惧した社長のNさんは、A社のブランドを認知してもらい、さらにはエコカーに対する誤解をといてもらうためのマーケティング活動を行うことにしました。

 

もちろんそのゴールには、クラウドファンディングでの資金調達があります。

 

実際にA社が取り組んだ活動は次のとおりです。

 

・WEB広告の拡大
・全国セミナーの開催
・これまでに開発した自動車の展示、試乗会の開催
・マラソン大会へのエコカーの提供
・社長自らメディアへの積極的な露出
・コンパクトエコカーをモチーフにしたキャラクターの活用

 

初めのうちはなかなか成果があがりませんでしたが、上記のような活動を地道に行った結果、少しずつA社の認知度はあがっていきました。

 

また、エコカーに対する印象も、山積する課題にばかり目を向けてしまうのではなく、未来のために必要なものとしてのイメージが高まってきました。

 

つまり、A社もその製品も、ブランド力が大きく高まったのです。

 

その後に行った再度のアンケート調査では、ブランド力によるイメージの好転が如実にあらわれていました。

 

その結果を踏まえて行ったクラウドファンディングでの資金調達では、予想をはるかに超えた金額が集まり、コンパクトエコカーの開発に思い切った投資をすることができるようになりました。

 

 

<解説>
一般的に周知されている企業が、必ずしも業績好調とはかぎりません。

 

また、その製品についてのイメージもプラス面ばかりではなく、むしろマイナスに捉えられているということが往々にしてあるのです。

 

ブランド力を高める場合には、ただ認知度をあげることだけ考えるのではなく、「知覚品質」「ブランド連想」「ブランド・ロイヤルティ」なども考慮することが大切です。

 

 

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