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流通戦略②(流通チャネルの種類) その2

<?卸売業者>
一方で卸売業者は、メーカーと小売業者との間に介在して、製品の特徴や地域にマッチしたものを消費者に届ける役割を担っています。

 

また、顧客からの情報を収集する機能も有している点では小売業者と同じです。

 

買い手の数が増えれば増えるほど、小売業者は多種多様になるため、卸売業者の存在がより重要になっていきます。

 

通常、卸売業者の働きは、最終消費者に意識されることはほとんどありません。

 

しかし、流通合理化の圧力は製造メーカーからも小売業者からもかけられることが多く、両者の板挟みに苦しむことも少なくないのが特徴です。

 

メーカーと小売業者との接触回数を必要最小限に抑えるために奔走しなければならず、結果的に労働集約的な組織体系になることも少なくありません。

 

マージンという観点から考えると、メーカーから商品を買い取ってから小売業者に流通させるか、あるいは売り手と買い手の取引を仲介することでその利ざやを得る卸売業者に分かれます。

 

在庫を抱えるリスクが高まるだけに、前者のほうがよりマージンが高くなる傾向にあります。

 

 

【例題】
それでは、例題をとおして、流通チャネルの種類についてより深く学んでいきましょう。

 

消費者の視点からのみ考えてしまえば、流通に携わっている企業や業種の全体像がイメージしにくいかと思います。

 

そこで、直接相対する業者(ヒト)をイメージするのではなく、製品そのもの(モノ)の流れをイメージするようにしてみてください。

 

そうすることで、それぞれの業者が担う役割も俯瞰できることでしょう。

 

<例>
コーヒー豆の製造と販売を行っている中小企業のA社は、多種多様な需要に答えるために、新商品の開発を進めています。

 

最近では、女性を中心に「コーヒーを飲みたいけどカフェインは控えたい」という要望があり、なるべくカフェインを摂取しなくて済むようなコーヒー豆の研究開発を行っています。

 

そうしたユニークな活動は、地元メディアでも話題となるなど評判です。

 

もっとも、売り上げの方はかなり厳しいという現状がありました。

 

顧客の需要に根ざした製品を開発しても、その製品のことを知ってもらえるカフェや飲食店には限りがありますし、営業パーソンの数も絶対的に足りていません。

 

主力の大衆向けコーヒー豆は利幅も小さいため、事業を拡大するのも難しいのが実際のところです。

 

そうした現状を加味して、社長のNさんが最初に取り組んだのはITの活用でした。

 

ホームページからの集客や販売はもちろんのこと、顧客リストや商品に関するさまざまなデータをクラウド化することにより、経費を抑えつつ販売を促進しようと考えたのです。

 

しかしそれも、ここにきて限界が見えているように感じています。

 

なぜなら、他社も同様の取り組みをしているからでした。

 

いずれにしてもこのままではジリ貧です。

 

知恵を絞ったN社長がたどり着いたのは、原点回帰の「流通合理化」でした。

 

流通のことは流通のプロに任せる。

 

自社が行うのはすべての小売店への営業ではなく、卸売業者と一部のお得意にとどめ、最適な製品を最適な市場・消費者に届けることを念頭に置く。

 

そのような方針へと転換したのです。

 

その結果、最初の数ヶ月は卸売業者へのマージンに苦しんだものの、徐々に新しい流通チャネルが開拓されていきました。

 

市場からの注目度も格段にアップし、大衆向けの低価格商品だけでなく、冒頭に登場したカフェインレスコーヒー豆など、独自の製法による高単価商品も売れ始めたのです。

 

さらにこの流れを維持するべく、A社は流通チャネルとの相互の情報交換を行うことを決めました。

 

それによって、これまでの斬新な商品開発から一歩先へ進み、顧客のナマの声を集めてトレンドを維持しつつ、他社よりも早いスパンでの商品開発を実現させたのです。

 

斬新な新商品という「客寄せパンダ」が利益を生むようになった瞬間でした。

 

 

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