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流通戦略③(流通チャネル構築プロセス) その2

<選択的流通政策>
一定の基準を満たした流通業者にのみ自社の製品を取り扱ってもらうという政策が「選択的流通政策」です。

 

「開放的流通政策」と後述の「排他的流通政策」の中間に位置します。

 

業者を選定する基準には、「メーカーへの協力度」「競合製品の割合」「立地条件」などがあります。

 

流通コスト低減に寄与するだけでなく、流通業者をある程度コントロールできるというメリットもあります。

 

<排他的流通政策>
最後は「排他的流通政策」です。

 

特定の地域、あるいは代理店・特約店などの販売先を選定し、排他的・独占的に販売権を与える政策です。

 

製品によっては、他社の取り扱いを禁止する場合もあります。

 

主に自動車や家電製品などの業界で採られる政策で、メーカーのマーケティングや販売戦略を浸透させつつコントロールできるというメリットがあります。

 

反面、コストが高くつきやすく、流通業者の主体性や創造性が失われやすいというデメリットもあります。

 

その他にも、自社の流通チャネルと他社の流通チャネルの調整にも配慮しなければなりません。

 

インターネットを利用した直販によって小売店の売上が圧迫されてしまうようでは、良好な関係を築くことは難しいでしょう。

 

また、業者間の摩擦を防ぐために、販売比率を微調整するなどの工夫が必要となる場合もあります。

 

 

<?展開エリアの決定>
チャネルの幅や排他性を決めるのとほぼ同じに、製品の展開エリアについても検討し始めましょう。

 

流通業者はある一定の地域に根ざしていることもあれば、全国に幅広く展開している場合もあります。

 

製品のエリア政策(「地域を限定して販売するか」「徐々に拡大していくか」「最初から全国展開していくか」など)にあわせて展開エリアも決定していきましょう。

 

それによって最適な流通チャネルが絞られることもあります。

 

 

<?チャネルメンバーの選定>
ターゲット市場、チャネルの長さや幅、展開エリアが決まったら、いよいよ「チャネルメンバーの選定」を行っていきます。

 

チャネルメンバーを選定する際の基準となる要素には、次のようなものがあります。

 

・企業の健全性(財務内容など)
・果たしうる機能
・得意とする製品カテゴリー
・販売組織の確立度
・顧客の数と質
・対顧客交渉力
・顧客との人間関係
・小売店での売り場獲得力
・取引条件
・物流能力
・情報武装のレベル
・コントロールのしやすさ

 

これからはあくまでも一例なので、すべてを網羅するのは難しいかもしれません。

 

何を重視するのかはそれぞれのメーカーによって異なるでしょう。

 

たとえば独身男性をターゲットとする飲料の場合、値崩れを防ぐという意味でもコンビニ限定にて販売する戦略が採られることもあります。

 

 

<?チャネルの動機づけ政策の決定>
最後に、流通チャネルに対して、取り扱いや販売の「動機づけ」を検討します。

 

動機づけとは、流通業者がその企業の製品をもっと売りたいと思えるようなモチベーションアップのための手法と言い換えても良いでしょう。

 

動機づけの具体的な方法には「流通業者へのマージン」「量によるディスカウント」「その他インセンティブ」の3つのがあります。

 

<流通業者へのマージン>
「流通業者へのマージン」は、分担してもらいたい機能が増えるほど、あるいはリスクが大きくなるほど高くなります。

 

在庫維持や現場での販売、配送といった機能までも負担してもらう場合には、流通業者に対して相応のマージンを支払わなければなりません。

 

<量によるディスカウント>
一回の注文で大量の商品を仕入れる業者に対して、1個あたりの単価を安く提供するのが「量によるディスカウント」です。

 

全国に展開する大手小売店の場合には、独自の販路や棚スペースを保有することで莫大なディスカウントを得ています。

 

<その他インセンティブ>
「その他のインセンティブ」としては、小売店を対象としたコンテストなどがあります。

 

期間や製品ごとに売上・販売数を競わせ、販売を促進します。

 

商品には各種商品券や旅行などがあり、とくに家族経営の小売店などでは効果があるとされています。

 

 

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