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ポジショニング その2

ポジショニング その2

【例題】
それでは、例題をとおして、ポジショニングについての理解を深めていきましょう。

 

ポジショニングを視覚的に行いたい場合には、後述する「ポジショニング・マップ」を活用すると便利です。

 

どのような指標を軸にもってくるべきか、あるいは競合の製品はどの位置にくるのかなどをイメージしながら、ポジショニングの実践方法を事例とともに学んでみてください。

 

<例>
「野菜をもっと美味しく食べてもらうために」をモットーに、主にサラダやパスタ用のドレッシングを開発しているA社は、すでに飽和しつつある市場に対して、競合他社との優位性をはかろうと画策していました。

 

そのため、都内に新しく建設された企画開発専門の複合工場では、日夜、必至の研究が行われています。

 

この春からプロジェクトチームのリーダーに任命されたE部長は、10年以上営業畑を歩んできたベテラン社員です。

 

しかし、企画に関してはまったくの素人ということもあって、夏を過ぎても魅力的な商品を企画することができていませんでした。

 

日々の会議も実りのある成果をあげることはできず、ここ最近は議論も煮詰まってしまっています。

 

その状況を見越した企画部のF次長は、E部長の能力をフルに発揮してもらうために、かつてのように営業先をともにまわることにしました。

 

スーパー、デパート、コンビニ、ドラッグストアなど、それぞれの店舗の店長や担当者にあいさつするとともに、今一度、現場の状況をじっくりと観察することにしたのです。

 

そうすることで、E部長も勘を取り戻してくれるのではないかと期待しながら。

 

この店舗まわりは、F次長の思惑とは裏腹に、思わぬ作用をもたらしました。

 

なんと、売り込みではなくあいさつまわりに終始したことによって、現場のスタッフから生の声を収集することができたのです。

 

とくに、「どのような商品が売れているか」ということだけでなく、「今、こんな商品が求められている」ということに関して、直接的な顧客の声を聞くことができました。

 

その結果、次に開発するべきドレッシングの輪郭が、おぼろげながら見えてきました。

 

とくに、A社の既存商品、あるいは競合他社の商品と差別化することも考えると、「健康志向で」「ディナー向けに」「もっと贅沢にサラダを楽しみたい」という需要に応えられる商品がまだ開発されていないということに気がついたのです。

 

ポジショニングとして、この部分がスッポリと抜け落ちていたのですね。

 

しかし、現場の生の声を聞いたこともあり、需要があるのは明らかです。

 

「自社のものをふくめて、まだ対応できていない新しい需要に応えるべく、戦略的にポジショニングした商品を開発できれば、飽和しつつある市場でも優位な競争ができるかもしれない」。

 

E部長とF次長は、そのような共通認識のもとに、新商品の開発を進めることにしました。

 

その結果、新しく開発されたドレッシングは、ゆったりと贅沢な食事を好む高齢者を中心にヒットし、A社ではかつてないほどの伸び率を記録しています。

 

さらに、新商品がヒットしたおかげで、購入客がA社の他の商品を買いまわる動きが広がり、全体の売上増にもつながったのです。

 

また、新商品はシリーズ化もされ、さらに幅広いニーズに対応できるようになりました。

 

<解説>
新商品の開発においては、机上で議論しているだけではいけません。

 

現場の声をしっかりと聞き、どのような商品を開発すれば顧客の需要を満たすことができるかについても、考え続けなければならないのです。

 

その意味において、今回のF次長の提案は優れていたと言えるでしょう。

 

おそらく、E部長がプロジェクトチームのリーダーに抜擢されたのも、現場の声を吸収できる素養があったためだと考えられます。

 

顧客のニーズを丁寧に収集すれば、商品をどのようなポジショニングで提供すれば良いのかがみえてきます。

 

最適なポジショニングを行えば、自社や競合他社の商品と差別化できるだけでなく、新しい市場をも開拓できる可能性があるのです。

 

そういった意味においても、マーケティング・ミックスにつながるポジショニングの役割は重要と言えるでしょう。

 

 

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