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ポジショニング その3

【ポジショニングの実践】
ポジショニングを実践する際には、開発した商品、あるいはこれから開発する商品の優れた点やアピールポイントをただ列挙するだけでは不十分です。

 

顧客がとくに重視するポイント(最終的な購買動機となるもの)を、おおむね二つ程度にまで絞り込み、より直接的に訴求できるようなポジショニングをしなければならないのです。

 

もちろん、企画段階で設定したコンセプトから大きくはずれてしまうようなポジショニングは、商品開発の軸がぶれてしまうことにつながりますので好ましくありません。

 

しかし、もともとのポテンシャルを十分に引き出し、その点を顧客の心に響かせることができなければ、ヒット商品へと育てることはできないでしょう。

 

ポジショニングにおいて、顧客の認知が最重要なのです。

 

どのような軸を設定してポジショニングを行うかについて、社内で意識を共有するためには、視覚的に活用できる「ポジショニングマップ」が有効です。

 

先ほどの事例をもとに、ポジショニングマップの作成方法とその過程をご紹介しましょう。

 

大きく、次の3つのステップから成り立っています。

 

<手順1.属性のリストアップ>
まず最初に、ポジショニングの軸となり得る属性をリストアップします。

 

この段階では、どのようなアピールポイントがあるのかを、ひたすら列挙してしまって構いません。

 

この後のステップにおいて絞り込みを行いますので、まずは思いつくままに挙げてみましょう。

 

企画・開発担当者だけでなく、営業や広告関係者の意見も参考にすると良いですね。

 

<手順2.属性の絞り込み>
次に、列挙したアピールポイントから、属性を絞り込んでいきます。

 

先ほども申し上げましたが、おおむね2つまで絞り込んでください。

 

ポジショニングマップの作成は、縦横の2軸で構成されていますので、それ以上の属性は活用することができません。

 

顧客の意思決定がどの要素でなされているかを考慮しつつ、絞り込んでいきましょう。

 

<手順3.マッピング>
属性を2つにまで絞り込めたら、あとはマッピングをするだけです。

 

縦横に矢印を引き、属性を書き込んだら、自社の既存商品や他社の商品をマッピングしてみてください。

 

そうすることで、どの分野にポジショニングするべきかがみえてきます。

 

最適なポジションが見つからない場合には、軸を変えるなどの工夫をしてみましょう。

 

ポジショニング

 

 

【ポジショニングの注意点】
最後に、ポジショニングの際の注意点について確認しておきましょう。

 

<注意点1.顧客の認識>
繰り返しになりますが、ポジショニングの役割はあくまでも「顧客の認識」です。

 

既存の商品でも、どのようにポジショニングするかによって認知度、ひいては売上が大きく変わる可能性があります。

 

<注意点2.競合の追随>
すでにヒット商品を開発している企業であれば、競合他社の追随に注意しましょう。

 

顧客に訴求できるポイントをさらに強めて打ち出すなどの対策を、随時行う必要があります。

 

<注意点3.他の自社製品との共存>
いくら需要があっても、自社の他の商品にマイナスの影響を及ぼしてしまうポジショニングは好ましくありません。

 

打ち出し方を工夫するなどして、共存できるようにしましょう。

 

<注意点4.検証と見直し>
ポジショニングは、一度行えばそれで終わりではありません。

 

顧客のニーズを満たしているか、あるいは差別化ができているかなどを検証し、くり返し見直すことが大切です。

 

顧客のニーズを満たしているどうかを確かめるためには、商品が顧客にどのように認識されているのかを表す「パーセプションマップ」を活用しましょう。

 

パーセプションマップとは、ポジショニングマップのように縦軸と横軸をとり、それぞれに「顧客がその商品をどのように認識しているか」を表す要素を加えたマップです。

 

その度合いから、他社商品とも比較しつつ、改善点を見いだしましょう。

 

パーセプションマップ

 

 

【まとめ】
・ポジショニングとは「ターゲット顧客に対して、自社の製品やサービスがいかに魅力的なのかを認知させるための活動」である
・ポジショニングによってマーケティング・ミックスの方向性が決まる
・視覚的にポジショニングを行う場合には「ポジショニングマップ」を活用すべき
・ポジショニングの実践においては「顧客の認識」や「競合の追随」、「自社製品との共存」などに注意する

 

 

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