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価格戦略@(製造コストとカスタマー・バリュー) その2

価格戦略@(製造コストとカスタマー・バリュー) その2

【「製造コスト」と「カスタマー・バリュー」】
最後に、「製造コスト」と「カスタマー・バリュー」について、あらためて詳しく解説していきます。

 

両者は価格の上限と下限を決めるための目安になりますが、必ずしも万能ではありません。

 

そのため、上限と下限の範囲内で価格設定したとしても、それが市場に受け入れられるとは限らないのです。

 

その点に注意しながら、価格をどのように決定するべきかを考えていきましょう。

 

 

<価格の下限を決める「製造コスト」>
「製造コスト」は、その名の通り製造にかかるコスト全般のことを指します。

 

企業が利益をあげるために存在してることを考えれば、製造コストを下回るような価格設定は考えにくく、また製造コストと同額では利益を生むことはできません。

 

基本的には、製造コストに利益を上乗せした価格が一般的な市場価格となります。

 

私たちが普段購入している商品やサービスは、そのようにして価格の下限が決まっているのですね。

 

製造コストは、大きく「固定費」と「変動費」に分類することができます。

 

固定費とは、設備費や人件費など、いわゆる生産や販売の規模が大きくなっても一定額かかる費用のことです。

 

固定費が多い製造業などの場合には、大量生産やノウハウの蓄積によって製造単価を下げることに尽力しつつ、損益分岐点を越えるまで作り続けなければなりません。

 

ただし、一定の生産を確保できればあとは利益を積み重ねることができます。

 

一方で変動費とは、固定費以外の変動する費用のことです。

 

原材料費などの売上に比例して変動する費用は変動費となりますし、その他にも販売手数料や運送費なども変動費として分類されます。

 

変動費の割合が大きい企業の場合には、製品あたりの限界利益(売上費−変動費)の最大化を目指すことが課題となるでしょう。

 

また、製造コストの考え方としては「直接費」と「間接費」というものもあります。

 

それぞれの具体的な概念の説明は「アカウンティング」に譲ります。

 

ただ直接費はともかく、ひとつの製品に対してどの程度の価格が間接費として計上するべきなのかは判断が難しく、計算方法によっては数値が変わってしまうこともあります。

 

社内で一定の基準を設けておき、そこからズレてしまわないようにすることが大切です。

 

価格戦略(製造コストとカスタマー・バリュー)

 

製造コストが価格設定の下限基準になることはすでに述べましたが、必ずしもそれが絶対的な指標とは限りません。

 

あくまでも目安でしかないことは理解しておきましょう。

 

たとえば、製造コストを大きく下回るような価格設定をしたとしても、それによって他の商品が売れるなどの相乗効果を得られるのであれば、それは十分に戦略的な価格として設定できるのです。

 

また、関連商品やアフターサービスがメインの収益源となる場合も同様ですね。

 

下限という意味に関して言えば、世の中には無料の商品もたくさんあります。

 

無料で提供することによって、さらなるサービスへと導いたり、あるいはその企業のことを知ってもらうための施策となるのであれば、それもまたマーケティングの一環となるでしょう。

 

製造コストがあくまでも目安にしかすぎないと理解していれば、その時々に応じて無料や低価格を武器に、事業を推し進めることも可能となるのです。

 

 

<価格の上限を決める「カスタマー・バリュー」>
次に価格の上限を決める指標としての「カスタマー・バリュー」について考えてみましょう。

 

カスタマー・バリューとは、顧客が適正と認める価格帯のことですが、それを知るためには綿密な調査が必要です。

 

市場調査をするのはもちろんのことではありますが、マーケティングリサーチによっていかに正確な数字を把握できるかどうかということに関しては、担当するマーケッターの腕の見せどころと言えるでしょう。

 

カスタマー・バリューを決定する際に注意しておきたいポイントは2つあります。

 

一つめは、カスタマー・バリューを決定するのは必ずしも顧客だけはないということです。

 

カスタマー・バリューが顧客の価値という意味であるのに対し、それを決定するのが顧客だけではないというのは不思議に思われるかもしれませんが、実際には、企業側の働きかけによってカスタマー・バリューに影響を与えることは可能です。

 

そのための施策として、販促活動があります。

 

また、二つめは、カスタマー・バリューが顧客グループや市場セグメントによって異なるということです。

 

マーケッターとしては、そうした違いを考慮しながら最適な価格設定をすることがベストですが、利益を最大化することも忘れてはならないため、難しい判断となることは言うまでもありません。

 

もちろん、他の商品との兼ね合いもありますし、相場から離れる場合には相応の製品機能を盛り込む必要があるでしょう。

 

カスタマー・バリューという観点から言えば、同じ商品でも異なる価格で販売することができる場合があります。

 

主に次の3つのシチュエーションです。

 

1.ある市場で販売されている商品を、他の市場の買い手が購入できない場合
2.買い手が、他の市場でより低価格で購入できることに気づいていない場合
3.保管や保存ができない商品・サービスである場合

 

これらの状況下においては、カスタマー・バリューにとらわれずに価格を変化させることができます。

 

繁忙期における引越し代金や旅行シーズンにおける宿泊費、あるいは曜日によって価格に違いを設けている映画館などはその代表格と言えるでしょう。

 

価格戦略(製造コストとカスタマー・バリュー)

 

 

【まとめ】
・「価格」は、購買行動を決定させるための重要な指標である
・価格設定に際しては、「製造コスト」と「カスタマー・バリュー」を考慮しなければならない
・価格の下限に製造コストをおき、上限にカスタマー・バリューをおくことで、適正価格の幅が明らかになる
・状況に応じて、下限と上限を越えて価格設定することも必要となる

 

 

前のページ 「価格戦略@(製造コストとカスタマー・バリュー) その1」

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