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価格戦略C(新製品の価格設定) その2

価格戦略C(新製品の価格設定) その2

会場をおとずれてみると、そこには100社はあろうかという造り酒屋がひしめいていました。

 

れぞれの酒屋が各々の商品を必死に売り込んでおり、積極的に試飲してもらおうと働きかけています。

 

S社長はしばらく、その異様とも言える熱気に圧倒されていましたが、少しずつ勧めにしたがって試飲を始めていきました。

 

根っからの酒好きであるS社長にとって、昼間から飲めるのは至福のひとときです。

 

数件のブースでお酒を堪能したS社長は、各社の商品ラインナップをぼんやりと眺めながら、ふとあることに気が付きました。

 

それは、それぞれの店舗ごとに異なる商品の価格設定です。

 

どれも日本酒であることには変わりはないのですが、価格には大きな差が設けられていることに違和感を覚えたのです。

 

しかし、よくよく考えてみると、それはA社でも当然に行われていることでした。

 

より大衆に受け入れられやすいお酒に関しては初めから低価格で提供し、時間をかけて開発した高品質なお酒は差別化の意味もこめて高めに設定しています。

 

つまり、同じお酒でもそれぞれ役割が異なるのです。

 

S社長は、この気付きがA社で毎年行っている新商品にも生かせるのではないかとひらめきました。

 

つまり、ただ新商品を発表するのではなく、あらかじめ低価格の大衆向け商品と高価格のコアなファン向け商品の2種類を提供することによって、「市場シェアの獲得」と「コストの回収」を同時に実現させるのです。

 

S社長は会社に戻って、さっそくこの戦略を社内に浸透させました。

 

その結果、継続性によるPR効果だけしか期待できなかった年初の新商品投入が、しっかりと採算をとれるようになりました。

 

それだけでなく、明確な価格バリエーションによって新しい顧客も増え、A社の経営体質そのものが改善したのです。

 

 

<解説>
新商品は開発コストがかかっているだけに、慎重に値付けを行わなければなりません。

 

「ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格設定)」や「スキミング・プライシング(上層吸収価格設定)」という手法をあらかじめ知っておくだけでも、より戦略的な営業活動が行えるようになります。

 

経験から学ぶことも大切ですが、それを実際に行動に移してこそ実感をともなった学びとなるでしょう。

 

 

【ペネトレーション・プライシングとスキミング・プライシング】
最後に、ペネトレーション・プライシングとスキミング・プライシングについて、それぞれのポイントや両者の違いを確認しておきましょう。

 

<ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格設定)>
ペネトレーション・プライシングは、新製品を市場に浸透させるためにただ価格を低く設定するだけではなく、販売量の増加によって長期的なコストが低下することを見越しています。

 

たとえば、工業製品などは職人の経験値や設備の拡大によって、たくさん作れば作るほど1個あたりのコストは下がります。

 

つまり、シェア拡大とともに、経験効果や規模の経済によるメリットが得られるのですね。

 

<特徴>
・広い市場があり、価格の変動があっても一定の売り上げが見込める製品に最適
・早期の市場シェア拡大や消費者認知の増加が期待できる
・予想通りにコストが下がらない場合があるので注意が必要

 

価格戦略((ペネストレーション・プライシング)

 

 

<スキミング・プライシング(上層吸収価格設定)>
スキミング・プライシングは、早期のコスト回収を目指して価格を高めに設定する手法です。

 

半導体のように画期的な製品を開発すれば、他社の追随を待っている間に高価格でも売り上げを確保することができます。

 

とくに、あらかじめ巨額の投資を行っている場合に有効な設定方法となります。

 

<特徴>
・容易に真似できない明確な差別化ができており、競争のない製品に最適
・優良顧客を獲得しつつ、早期に高い利益を得られる
・差別化が不十分だと、利益を確保する前に競合が参入してしまうことも

 

価格戦略((スキミング・プライシング)

 

 

【まとめ】
・価格設定のなかでもとくに「新製品の価格設定」は、会社の業績を大きく左右することもあり、気を使わなければならない
・代表的な新製品の価格設定方法は次の2つ
@ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格設定)
Aスキミング・プライシング(上層吸収価格設定)
・両者の違いを正しく理解し、目的に沿った価格設定をすることが大事
・価格設定によって、新商品が担う役割も変わってくる

 

 

前のページ 「価格戦略C(新製品の価格設定) その1」

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