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価格戦略D(心理的価格設定、価格調整法、値下げ) その1

価格戦略D(心理的価格設定、価格調整法、値下げ) その1

【消費者の心理を考慮した価格設定】
商品の価格を設定する際の判断基準にはたくさんの要素がありますが、最終的に商品を購入するのが消費者だということを考えると、消費者の心理的な反応を考慮しないわけにはいきません。

 

心理的な反応とは、「消費者が商品と価格とを見比べたときにどのような心理でそれを受け止めるのか」ということですね。

 

そのように消費者の心理的な反応をとらえた価格設定を「心理的価格設定」といいます。

 

心理的価格設定には大きく次の4つの項目があります。

 

@段階価格
A名声価格
B端数価格
C慣習価格

 

価格戦略(心理的価格設定)

 

「段階価格」とは、高級品・中級品・普及品というように、価格に段階を設けて消費者に提供する手法です。

 

消費者は、その価格差を見比べつつ、予算の検討もしながら最終的に製品選択をします。

 

同一製品系列における品目数が多く、かつ価格の幅が広い製品に適しています。

 

たとえば、洋服や自動車などはランクによって価格差を設けていますね。

 

「名声価格」とは、その製品を購入することによって名声を得られるような場合に、そうした消費者の心理的傾向を意識した価格設定方法です。

 

たとえばブランド品や骨董品などは、消費者が十分に適正価格を判断できないことが多いですが、高価格の値つけがされることによって、品質に対する信頼や評価が担保されるというものですね。

 

「端数価格」とは、スーパーやデパートで売られているいわゆる「特価品」や「セール品」に多い価格設定方法です。

 

誰しも、1,000円の商品を980円としたり、20,000円の商品を19,800円と表示しているのを見かけたことがあると思います。

 

価格はそれほど変わらないのですが、大台に乗るか乗らないかで心理的な反応は異なります。

 

最後の「慣習価格」とは、昔から一定の慣習によって価格が固定されている商品のことをいいます。

 

自動販売機で販売されている缶飲料などは、消費税の影響で価格が変更することはありますが、基本的には横ばいで推移していますよね。

 

また、嗜好品であるタバコに関しても、税金の影響を除けば横並びです。

 

これらの製品は、価格を上げると急激に需要が減退する傾向があるのが特徴です。

 

 

【例題】
それでは、例題をとおして、消費者の心理を考慮した価格設定について理解を深めていきましょう。

 

商品とその価格とを照らしあわせた場合に、消費者がどのような反応をするのかという点が重要です。

 

消費者視点で考えてみたときに、自分がどのような感想をもつだろうかとイメージしながら読み進めてみてください。

 

<例>
中小企業向けのコンサルティングサービスを展開予定のA社は、3ヶ月後の設立に際して、サービスの内容について議論を重ねていました。

 

創業社長に就任する予定のFさんは、某大手コンサルティング会社で数多くの実績をあげてきた有名コンサルタントです。

 

その他の従業員はかつての部下や他社のコンサルタントなど、優秀な人ばかりがそろっています。

 

サービスの概要については中小企業のコンサルティングということでおおむね方向性は決まっていました。

 

他社との差別化についても、とくに設立5年以内の有望なベンチャー企業に的を絞ることによって、将来的な株価上昇や社外取締役となるなどの施策をしており、外からはもちろんのこと中からもサポートできるように体制を整える計画です。

 

もっとも、議論が紛糾しているのは提供するサービスの価格についてです。

 

日用品や消耗品のように目に見えるものではなく、コンサルティングという無形のものを提供するということもあり、価格の初期設定が難航していたのです。

 

F社長は強気の価格設定として、見積から提案までで10万円の費用を請求することを提案していましたが、他の社員は数万円かあるいは数千円でもいいと考えている者もおり、落としどころが見当たりません。

 

そんな折、知り合いのベンチャー企業経営者であるGさんが、新しい事務所に遊びに来ました。

 

F社長はこれを良い機会だととらえ、コンサルティングサービスの価格について意見を求めることにしたのです。

 

しかし、Gさんの意見はF社長の考えとは大きく異なっていました。

 

「数千円でも、数万円でも、あるいは10万円以上でも頼むときは頼む」と言うのです。

 

この言葉を聞いて、F社長は頭を抱えてしまいました。

 

「まさかGさんがふざけて意見を述べていたとは考えにくい。そうなると、初期の価格設定をすることに深い意味はないのだろうか」。

 

そのように考えこんでしまったのです。

 

他の社員からも良い提案が得られるわけではなく、価格設定に関してはとりあえず棚上げされてしまいました。

 

そんなある日、とある経営者向けセミナーに参加したF社長は、Gさんとばったり出くわしました。

 

そこで、A社が提供するコンサルティングサービスの初期の価格設定がいまだにできていないことを告げたのです。

 

するとGさんは、この間の言葉の真意を、F社長に次のように説明したのです。

 

「価格というのは消費者のとり方によってさまざまです。だからこそ、サービスの内容とともに複数の選択肢を用意することで、数千円でも数万円でも、あるいは10万円でも購入される可能性があるのです。大切なのは消費者が納得できるように、さらには最終的に購入にいたるように設定することなのです」。

 

Gさんの言葉を聞いたF社長は、コンサルティングサービスの価格を3つにすることにしました。

 

つまり、社員が対応する簡易な案件は数千円、高度な案件は数万円、F社長自らが対応する場合には10万円としたのです。

 

このように段階的に価格設定をすることで、顧客に対してより適切なサービスを提供でき、スムーズに事業をスタートさせることができました。

 

 

<解説>
価格設定は消費者の心理を加味して行わなければなりません。

 

サービス内容によって複数個の価格を用意する意味は、顧客に選択肢をもたせるという狙いもありますが、中間価格を積極的に選ばせるという戦略にもつながります。

 

つまり、安くもなく高くもない無難な価格を選びやすいということですね。

 

そのように、消費者の心理がどのように動くのかということから価格設定をしていきましょう。

 

 

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